実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第25回 横浜雙葉中学高等学校

カテゴリ : 中学受験, 学校情報

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名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第25回目の今回は、横浜雙葉中学高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。

学校名 横浜雙葉中学高等学校
所在地 神奈川県横浜市中区山手町88番地
JR京浜東北・根岸線 石川町駅南口 徒歩13分
みなとみらい線 元町・中華街駅 徒歩6分
ホームページ http://www.yokohamafutaba.ed.jp/highsch/index.html

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学校概要

横浜市中区、山手の丘にあるカトリック・ミッションスクール。
1872(明治5)年に来日したマザー・マチルド他4名の「幼きイエス会」の修道女が、山手58番地に小さな家を借りて外国人子女教育や貧困孤児養育事業を開始したのが始まり。
校訓は「徳においては純真に 義務においては堅実に」。
高校募集のない完全中高一貫校。併設小学校あり。

【沿革】

1900(明治33)年、一般の子女を対象とした横浜紅蘭女学校開校。
1951(昭和26)年、校名を雙葉中学校・高等学校に変更。
1958(昭和33)年、校名を横浜雙葉中学校・高等学校に変更。
2000(平成12)年、創立100周年を迎える。

■入試情報

◯2018年度中学入試

2/1の1回入試
募集人員:一般100名、帰国生若干名。
応募者数:一般183名(昨年度220)、帰国生8名(昨年度16)。
受験者数:一般179名(昨年度217)、帰国生8名(昨年度15)。
合格者数:一般103名(昨年度105)、帰国生4名(昨年度9)。

国算・各50分100点、社理・各40分80点。保護者同伴の面接あり。
合格者最高点293/360(81.4%)、合格者最低点206/360(57.2%)。
合格者平均と受験者平均の得点差は算数が一番大きく(8.6点)、合否の鍵はやはり算数にある。
中1は5クラス、各クラスとも受験組と併設小学校からの進学組は概ね半々(小学校の募集定員は80名)。

〈出題方針〉

国語

(受験生平均60.2、合格者平均64.6/100点)

  1. 漢字・俳句・敬語など
  2. 小説
  3. 論説文

文章読解については、基本的語彙の理解や文脈的理解に立脚した正確な読解を求める。
さらに総合的な論旨の理解なども必要。記述問題は部分点あり。
2019年度入試は、出題方針は例年と同じ予定。
「ことばの問題」「小説・随筆」「論説文・説明文」

算数

(受験生平均51.6、合格者平均60.2/100点)
1.小問(一行形式)
2・3.大問(2018年度は、大問2は約束記号と整数、大問3は図形と関数)
計算問題から面積・体積の測定、割合と比、関数とグラフ、図形の性質など、特定の分野にこだわることなく幅広く出題される。
問題レベルも基本から応用まで。
2019年度入試では、一部で途中式や考え方を書く問題の出題を予定している。

理科

(受験生平均49.5、合格者平均55.1/80点)

  1. 生物分野(2018年度、植物のつくり・実のできかた)
  2. 化学分野(2018年度、水素の燃焼)
  3. 地学分野(2018年度、大気圧と気体の温度)
  4. 物理分野(2018年度、光の反射)

「観察・実験の過程における科学的な思考力や知識・理解を見る問題」や、「学習内容を日常生活と関連づけたり、生命尊重・環境保全に対する関心・態度を調べたりする問題」を出題する。
2019年度入試も、記号選択・用語を書くだけではなく、図やグラフを書く・読み取る、計算、理由や予想をする問題など、多様な形式で出題を予定。部分点も考慮する。

社会

(受験生平均43.2、合格者平均47.7/80点)

  1. 歴史分野(2018年度、寺社をテーマとした問題)
  2. 地理分野(2018年度、観光を切り口にした問題)
  3. 公民分野(2018年度、「平和とは何か」を切り口にした問題)

基本的な知識・理解を土台に、「資料や統計を読み取る力」や「筋道を立てて説明する力」をはかる問題を出題する。
地歴公民はほぼ均等出題、均等配点。
2019年度の出題形式は、語句などを書く・正誤選択・並べ替え・資料の読み取り・記述問題などを予定している。語句問題は漢字指定あり。

◯2019年度入試

変更なし。

■進学実績

〈合格者数〉

卒業生175名。
東大5名(文系3、理系2)、京大1名、一橋大4名、横浜国立大3名、横浜市立大8名など
国公立大38名(既卒生含む)。
慶應義塾大28名、早稲田大32名、上智大30名、東京理科大9名など (現役生のみ)。
医学部医学科は横浜市立大4名など国公立大7名(現役生3名)。
日本医科大3名、順天堂大2名、昭和大6名など、私立大28名(現役生10名)。

数学・英語は放課後に希望者を対象とした発展的内容の補習があり、理科については実験の時間が多く、教科書は概ね高2までで修了する。
高2から文理選択授業が入ってくるが、現状は文系6割、理系4割。
理系の生徒は、地方大学も含めた国公立大志向があり、最近は物理を選択する生徒が増えてきたらしい。

■教育の特徴

フランス系の女子修道会「幼きイエス会」が母体で、キリスト教の価値観に基づいた人間教育を行っている。新入生歓迎のミサや学年ミサ、クリスマスの集いなど、さまざまな宗教行事が年間を通してあり、生徒たちには祈りの心を大切にすることを教えている。ただ、個人的な感想ではあるが、他のミッション校に比べて宗教的雰囲気は薄いように感じられる。
教室や図書館、その他の施設には明るい太陽の陽が降りそそぎ、グラウンドも広く、豊かな緑に囲まれた校内は穏やかで開放的である。
校則は普通に厳しめだが、上から押しつけるようなものではなく、そのせいか、おっとりとした雰囲気を感じさせる生徒が多い。一人ひとりの個性を大切に「高い知性と豊かな感性を磨く」という学校の教育理念が隅々まで浸透していて、少なくとも大学受験に向けてガツガツしすぎる感じはない。しかし、勉強はしっかりとさせている。

シラバスは、各教科とも、6年を通した指導方針が明確である。
中1から中2は基礎学力の充実期であるが、この時期から定期的に外部模試を取り入れ、さらに英・数・国の指名制の補習もある。
英語は中1からハーフクラスの少人数制授業を行う。同時に、昨年からネイティブ教員を補充してスピーキング力の強化をはかり、大学入試対策も念頭にGTEC等の外部試験対策も行っている。
中3から高1では、中学課程の発展学習と高校の先取りを行い、英数で少人数習熟度別授業もはじまる。さらに数学などでは発展的内容の希望制補習も行う。
高2・高3は文系・理系等コース別の学習となっており、5教科で希望制の補習を行って進路対策としている。高3になると1学期から医学部受験生を対象とした小論文対策も行っているようだ。

環境的には、通学にハードな坂があることを除けば周辺の街並みや歴史を感じるたたずまいを含めて憧れの対象となり、その横浜山手の空気に合った穏やかな生徒が集っているように感じる。多くの生徒は元町・中華街駅を利用していると思われる。
近年、正鞄以外にリュックの使用も認められている。

■学校を訪問してみての感想

東大には毎年複数の合格者を出し、また医学部を目指す生徒も多い。
目に留まる進学実績はあるのだが、横浜の名門校の一つであるからこそ、若干の物足りなさがあることも否めない。「進学をもっと前面に出してカリキュラムを組むことはできるが、そうすると雙葉らしさが損なわれはしないか?」というような、伝統校ならではの先生の声が聞こえてきそうである。

「タブレット導入も検討している」という話は聞けたものの、ICT教育関連にやや足の重い感がある。むやみにIT機器を導入するような安易な進め方には反対だが、これからの社会を生きる女性の育成として、一定の理念に基づいた前向きな取り組みは必要であると感じた。

長年培ってきた伝統と文化は他校には真似のできないもので、時代の変化や目先の動きに流されないキリスト教学校としての確固たる理念と実践は非常に魅力を感じる。訪問した際に、たまたま廊下ですれ違った生徒たちの、はにかんだような品のよい表情が校風を物語っていた。
今後どのような生徒たちを世に送り出して行くのか。横浜の名門女子校としての学校の手腕を楽しみに見て行きたい。

(文責:A.M)

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