実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第28回 明治大学付属中野中学・高等学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第28回目の今回は、明治大学付属中野中学・高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 明治大学付属中野中学・高等学校 |
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所在地 | 東京都中野区東中野3-3-4 JR総武線・東中野駅 徒歩5分 地下鉄東西線・落合駅 徒歩10分 |
ホームページ | http://www.meinaka.jp/ |
学校概要
都内に3校ある明治大学付属校の中で、唯一の男子校。
「質実剛毅」「協同自治」「修学錬身」を校訓として、将来社会人として必要になる知・徳・体をバランスよく身につけ、強く・たくましく・そして優しい男子を育てることを教育方針とする。
1949(昭和24)年に明治大学の付属校となったが、学校設置者は学校法人中野学園で明治大学とは系属校としてのつながり。当初は明治大学への推薦率も50%程度だったが今では80%を越えるまでになっており、付属校としての色合いはかなり濃い。
1984(昭和59)年に、姉妹校として明治大学付属中野八王子中学校・高等学校を開校した。
〈 沿革 〉
1929(昭和4)年、旧制中野中学校開校。
1949(昭和24)年、明治大学の付属校となる。
2014(平成26)年、8月に中学棟(B1~6F)落成。
2016(平成28)年、3月に高校棟(B1~3F・屋上)落成。
2017(平成29)年、8月に共用棟(B1~3F)、10月に第二体育館(兼 講堂)落成。
2018(平成30)年、3月に校庭が完成し新校舎がすべて落成した。
■入試情報
◯2018年度中学入試
2/2と2/4の2回入試、ともに4教科受験。
国語・算数 各50分・100点、社会・理科 各30分・50点。各教科の足切りはなし。
募集定員は第1回・160名、第2回・約80名。
〈 第1回 〉
志願者数896名(昨年度882名)
受験者数778名( 〃 749名)
合格者数269名( 〃 238名)
入学者数175名
合格者最低点182/300、合格者平均点205.1/300
〈 第2回 〉
志願者数756名(昨年度750名)
受験者数601名( 〃 555名)
合格者数109名( 〃 144名)
入学者数76名
合格者最低点183/300、合格者平均点198.6/300
- 合格ラインが徐々に上がり、昨年度からは第1回、第2回ともに合格最低点が60%を超えている。
- 合格者平均と受験者平均の差(4科合計)は、第1回が39.1点、第2回が44.6点。教科別に見ると特に算数の得点差が大きい。
- 今年度、第2回入試の受験者601名のうち376名(63%)が第1回との併願者。同じく、合格者109名のうち43名(39%)が併願者で、そのうち19名は第1回入試の結果に比べて30点以上得点が伸びた。
- 繰上候補者は合格発表時に併せて表示し、欠員が生じた場合は電話で連絡をする。繰上人数は非公表だが、2018年度は第2回受験生から20名程度だったようだ。
- 昨年からインターネット出願を導入、合格発表は即日に変更。
【出題傾向】
〈 国語 〉
- 長文読解問題(説明文)が60~70%、小問が30~40%。
- 読解力を求める出題で、記述式の問題も多い。誤字・脱字・答え方が不正確なものは減点対象。指示語・接続詞・係り受けの問題なども出題される。
- 漢字の読み書きが20点前後出題。四字熟語・慣用句・ことわざ・文法なども出題される。
- 語彙力があると答えやすい出題が多い。
〈 算数 〉
- 計算や一行問題が8~10題、文章題・グラフの読み取り・図形などが8~10問程度。配点はほぼ均等。
- 小学校で学習する全範囲から出題される。基本から応用まで含まれるが、難問・奇問といわれるようなものは出題されない。数に関する問題・相似・速さの問題が頻出。
- 記述はなし、解答欄のみ。
- 約分していないものは×になる。
〈 社会 〉
- 地理・歴史・公民分野から万遍なく出題される。
- 解答形式は選択肢や語句を答えるものがほとんどだが、一部短い文章で答えるものもあり。
- 地理は日本地理が中心で、グラフを読み取る問題が頻出。歴史は年表を活用した学習が必要で、文章で答える問題も出題される。公民は日本の政治が中心。
- 過去1年の時事問題が取り上げられる。
- 用語・地名・人名は漢字指定あり。
〈 理科 〉
- 物・化・生・地から均等に出題、小問1問が2~4点。苦手単元を作らないことが必要。
- 選択肢や語句を答えるもの、計算による数値を解答するものが多いが、10~20字の記述問題が出題されることもある。
- 今年の入試問題(第2回)は、真ん中に難問を置いたので時間配分での戸惑いもあり、正答率が悪かった。2019年度入試では問題の並びに配慮して出題する。
◯2019年度入試
試験日程等には変更なし。
第1回の出願締め切りを1/28 → 1/30に変更する。
■進学実績
〈 合格者数 〉
今春卒業生403名のうち、明治大学への内部推薦者は332名(82.4%)。うち1名は国公立大学併願合格のため明治大学へは331名が推薦で進学した。
現役で国立大学に6名(東大・一橋大・千葉大各1名など)、私立大学に68名(早稲田大7名、慶應大6名など)が合格し、国公立大学には6名全員が、私立大学には26名が進学した。浪人は39名。
明治大学への内部推薦は、定期試験の成績や明大推薦テストを含めた高校3年間の総合成績で判定される(人物面も評価の対象になる)。
定期試験は高校3年間で14回、明大推薦テスト(外部模試)は高校2年に1回、高校3年に2回実施される。成績は10段階評価で、高1は2倍、高2は3倍、高3は4倍にしたものを合計して、上位者から希望学部に振り分けられる。
■教育の特徴
大学付属校としてのメリットを生かした教育内容で、「受験のための6年間は過ごしてほしくない」という思いが強く前面に出ている。
中学は各学年6クラス、高校は各学年10クラスで編成され、高1から混合クラスとなる。高2から文系・理系に分かれた科目選択になるが、外部受験に特化した進学クラス等は設置していない。
中学では高校の先取り学習などは行わず、しっかりとした基礎学力を身につけさせることを目標とする。そのために小テストもこまめに行われ、再テスト、指名補習もある。また予習・復習を習慣化させるために家庭学習として出される宿題量は多い。教員が一人ひとりの生徒に寄り添い、「みんなでゆっくりじっくり学ぶ教育」が実践されている。
高等学校は、明治大学への推薦入試による進学を基軸に、国公立大や難関私大進学にも対応できるように5教科を中心にじっくりと実力を養うことを目標としている。明大推薦には芸術・体育などの成績も評価対象に入るのであくまでも日々の授業中心の学習であるが、実力養成のために通常講習や夏期講習、早朝講習などが組まれ、外部受験にも対応できる力を身につけさせている。英数国には演習の授業があり、センター試験や他大学入試問題レベルの対策も行っている。
部活動は19の運動部と16の文化部があり、中学では概ね9割以上、高3でも8割近い生徒がいずれかのクラブに所属して活動している。運動部系ではテニス・野球・サッカー・ラグビー部などに入部している生徒が多いが、むかし若貴の存在もあり輝いていた相撲部は部員数も少なく苦労しているようだ。グラウンド使用の関係があり、各クラブとも明大八幡山グラウンドなど外部の施設を使って活動しているものが多い。
高大連携では、明治大学特別進学講座(駿河台キャンパス)、農学部・理工学部見学会(生田キャンパス)や、高3を対象とした明治大学公開授業などを行っている。また希望制の理科実験講座、法曹入門講座、語学基礎講座、簿記講座などもあり、大学への進路指導・将来へのキャリアサポートを行っている。
■学校を訪問してみての感想
質実剛健のイメージとは少し異なる、仲の良い男の子たちの集まりといった印象が強い。「みんなで 仲良く 正直に 真面目に 精一杯努力しよう」という合言葉もあるようだが、学校の言う「付属校としてのゆとり」が良く体現されているように感じられる。
校則はやや厳し目。特に時間やルールを守ることについてはこだわりを持っている。服装は、冬服は黒の詰襟でマフラーは使用せず、セーター着用の場合は校章入りのものを使用する。靴・靴下・かばん等にも指定あり。髪型に関しては、中学では毎月の検査もあるようだ。
敷地が広がり新校舎もでき、校内は格段に過ごしやすくなった。定められた枠の中ではあるが生徒たちは日々の活動に精力的に取り組んでおり、さまざまな経験を通して成長している様子がうかがえる。男子校特有の伸びやかさも感じられる。
明治大学の人気も背中を押して、当分は多くの受験生を集め合格ラインも上がることになるだろう。しかし一方で、人気に応えるためのこの学校ならではの特徴といった点で、6年間のカリキュラムにやや物足りなさも感じる。
大学につながる学びの過程としては良い環境が用意されていると思うので、男子校としての付属校の良さを熟成させていって欲しい。
文責:A.M