オンライン学校説明会に参加しよう!
カテゴリ : 中学受験, 医学部受験, 大学受験, 学校情報, 高校受験
はじめに ~学校再開~
新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う政府の自粛要請を受けて3月2日から始まった「小・中・高の休校措置」がようやく解除になります。この間、人々の日常生活や企業活動にさまざまな影響が出てきていますが、生徒の学習環境にも多大な困難が生じることとなりました。今後は学校が再開され、生徒たちの元気な通学の姿も見られるようになってくると思いますが、感染防止の観点からしばらくは分散登校などの措置がとられ、学校生活がすぐに元通りになるということはないでしょう。
特に心配になるのが2021年度入試を控える受験生のこれからです。中学・高校・大学の各受験カテゴリーによってそれぞれ異なる問題が見えてきますが、今回は中学受験に的を絞って文章を進めてみたいと思います。
■2021年度 中学入試について
ざっと考えるだけでも、いくつもの懸念が持ち上がります。まず、従来と同じ日程で果たして入試を行うことができるのだろうかという点。感染症の第2波、第3波が来る可能性が、マスコミなどでも盛んに言われています。今年の冬、インフルエンザの流行と前後する時期に、もしそのような感染の波が訪れ、新型コロナウイルスへの対処方法がまだ万全ではない状態であったとしたら、入試日程の大幅な変更や入試形態の変更などが起こりうると考えておかなければいけないでしょう。
入試問題についても、受験生の学習進度の公平性に疑問を持つ学校があれば、昨年までとは出題傾向を変えることを検討するかもしれません。思考力・表現力を重視する最近の入試傾向を考えれば、いわゆるAO入試的な試験を採用する学校が出てくる可能性もあるでしょう。
今、学校の入試担当者に話を聞いても、明確な答えは返ってきません。答えようがない状況ですし、今年度はそういった不透明な状況が入試直近まであるいは入試本番まで続くと考えておいたほうがよさそうです。
そのようなストレスが溜まる状況が続く中で、受験生本人はどうすればよいのでしょうか。受験勉強の進め方については、各々の通っている塾で、カリキュラムの組み直しや進度の調整など何かしらの対策が講じられるはずですから、基本はそれに沿って進めて行くことが現実的な対処の仕方かと思われます。個別の苦手対策などは従来通り必要になるでしょうが、周囲の雑音に振り回されることなく、いままでの学びの蓄積を信じて、前向きに取り組んでほしいと思います。
そして、むしろ心配なのは保護者です。
■親の役割
中学受験は親の受験などと昔から言われますが、今年はまさに親の役割が大きなカギを握る年になるでしょう。例年以上にさまざまな入試情報や学校情報が飛び交うことになるかもしれませんが、全体が不透明な分だけ、より「確かさ」を意識して情報収集にあたる必要が出てきます。塾からの情報や一般評論家の方々のコメントは参考程度と位置付けて、必要と思われるものに関しては自ら学校に問合せて確認することをお勧めします。必要なのは総論あるいは個人の意見ではなく、我が子が受験を考えている学校の確かな情報です。今年度は学校ごとに独自の入試対応が出てくる可能性もあるので、子どもに余計な動揺を与えないためにも、まずは保護者自身がモヤモヤ感を払拭して安心することが大切になってきます。
学校からの情報発信の主たるものは受験生に向けた説明会です。この春はあいにくほとんどの説明会が中止になってしまいましたが、その中で多くの学校がオンラインによる説明会を実施していますので、機会があればぜひ覗いてみてほしいと思います。
■オンライン説明会の実施
現状オンラインで行われている学校説明会は二通りで、Zoomなどを使ったリアルタイムのものとYouTubeなどを使った動画配信のものに分かれます。動画配信のものは、専用のURLにアクセスすると、期間限定ではありますがいつでも見ることができるようになっています。一方、リアルタイムの説明会は開催日時が設定されていて、その時刻にPC等端末の前に座ることが必要となります。一通りの説明が終わった後、学校によっては個別相談の機会を設けているところもありますので、疑問・不安に感じることは遠慮なく聞いてみると良いでしょう。学校にとっては、些細なことでも質問を受けることは喜ばしいことですので、ためらう必要はありません。
この時期の説明会は、2020年度入試の結果報告、教育理念、特色ある学びの事例などの一般的な内容が多く、次年度入試についての話題は少ないのですが、確定分の募集要項の変更などは説明があるはずです。また休校期間中の授業の進め方や生徒の様子などを紹介してくれる学校もあり、学校ごとの生徒対応の違いなどが判って興味深いと思います。我が子に合った学校かどうか、判断材料のひとつになるでしょう。
その中のひとつ、鷗友学園の説明会が5月末まで動画配信されています。カテゴリー別に大変わかりやすく編集されていて学校の様子がよく伝わってくる内容になっており、休校期間中のオンライン授業の様子も丁寧に紹介されています。鷗友学園では日々の学科授業と並んで園芸という時間割があり、学校から各自の自宅に送られた栽培キットを使って毎日の草花の成長を確認したりしているようです。校内にある園芸実習園での日常の活動を継続させたいという思いからでしょうが、無機質になりがちなオンライン授業にあって生徒との温かいつながりを感じさせます。次回は6月27日開催予定で、午後の部ではパネルディスカッション形式のライブ配信も行われるようです。その時点での学校の様子がよくわかると思うので、他校の受験を考えているご家庭も参加してみるとよいかもしれません。
一方、2021年度入試に向けてのより具体的な情報提供となると秋の説明会まで待たなければいけないでしょう。そのころには対面式の説明会が実施されるようになっていることを願いたいですが、仮にオンライン説明会であったとしても前に述べた理由で各校個別の対応が出てくることが予想されます。受験の可能性がある学校については、時間をとってぜひ参加してみてください。
■塾対象説明会
例年、受験生向けの説明会とは別に、塾・予備校を対象に説明会を実施してくれる学校も数多くあります。今年は、新型コロナウイルス感染拡大前の2月に実施された武蔵と共立女子を除けば、4月以降に実施予定だった塾対象説明会はすべて中止・延期となっていますが、その中で受験生向けと同様にWeb説明会を実施してくれている学校も何校かあります。各校とも事前に準備した資料や動画を使って、学校の現状をわかりやすく伝えてくれています。
たとえば聖学院中学・高等学校はZoomを使ったリアルタイム説明会でした。後半には個別の質問対応もあり、普段から先生方がIT機器の使い方に慣れていることもあってか、大変にスムーズな進行でした。休校期間中の生徒向けのオンライン授業もうまく進んでいるようで、「今後、夏休み期間の短縮はありそうだが、授業再開後のカリキュラム変更の必要性は考えていない」とのことでした。
また、田園調布学園もYouTubeを使った動画配信でしたが内容がよくまとめられ、添付された資料もわかりやすく、例年の説明会と比べても遜色のない動画配信説明会でした。
今後、吉祥女子、青稜など多くの学校で同様の説明会が予定されています。正確な情報をご家庭に提供できるよう、私たちも積極的に参加していきたいと思っています。
文責:A.M