塾対象の学校説明会から情報をピックアップ 第1回 青稜中学校・高等学校
例年行われている塾を対象とした学校説明会も、今年は感染症の影響でその多くが中止となってしまっています。このような困難な状況にも関わらず、オンラインで説明会を開催してくれている学校が何校もあります。その中から、受験生にとって役立ちそうな情報を、名門会の担当者が紹介できる範囲でお伝えしていきます。
今回は、Zoomを使って塾対象の説明会をライブ開催された、青稜中学校・高等学校をご紹介します。
学校名 | 青稜中学校・高等学校 |
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所在地 | 東京都品川区二葉1丁目6-6 東急大井町線 下神明駅徒歩1分 JR京浜東北線・りんかい線 大井町駅徒歩7分 |
ホームページ | https://www.seiryo-js.ed.jp/ |
■学校概要
【沿革】
1938(昭和13)年に青蘭商業女学校を創立。1995(平成7)年に校名を青稜中学校・高等学校に変更し中学校を男女共学とした。1997(平成9)年には高等学校特別進学コースも男女共学となった。
以降、学校改革を進める中で進学校へと転換をはかり、近年は国公立大学や難関私立大学に多数の合格者を出すまでになっている。中高ともに受験生の人気も右肩上がりに大きく伸び、合格者偏差値も上昇している。通学の便利さから神奈川県内からの入学者も多い。
【教育目標】
「社会に貢献できる人間の育成」を建学の精神として、主体的に生きる個の確立を目指して
「意志の教育」「情操の教育」「自己啓発の教育」という3つの教育目標を掲げる。
【環境】
敷地が手狭なので、目の前のしながわ中央公園のグラウンドを使用したり、昼食時は向かいにある区立中小企業センターのレストランを利用したりすることもある。校舎内には太陽光が差し込み、きれいで明るい。休憩時間になると各学年の生徒が廊下を行き交い校内はかなりの混雑状態になるが、そんな中で生徒は日々の学習や部活に積極的に取り組み、活気のある学校になっている。
中学においては男子生徒が6割強だが、高校からの入学者は女子生徒の方がやや多いようだ。
今年から制服が新しくなり、藤原ヒロシ氏のデザインによるバリエーション豊かなものに刷新された。
【研修授業】
英語研修については、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、セブ島などに短期・中期の留学を行い、多様な文化に触れる機会を作っている。また、高校生の修学旅行は沖縄もしくはポーランド・ドイツを訪問するコースで、ポーランドではアウシュビッツの見学なども企画されている(残念ながら今年は中止の模様)。
また経験学習として、中学1・2年と高校1年は牧場・農場での自然体験や森林ハイキングなどに泊まりがけで出かけたり、希望者は東北地方などでボランティア活動も行ったりしている。さまざまなフィールドワークを通して仲間との絆を深め、自ら感じる心を育てている。
■トピック
◯学びの改革
週6日制を維持する中で授業時間を45分として平日は7時間、土曜日は4時間で時間割を組んでいる。それにより年間70コマの授業時間増となり、ゆとりのある授業内容を実現することができるようになった。さらに補完的にオンライン学習も活用して、Zoomによる双方向授業や、見直しの必要があればYouTubeによる反転授業の利用など、生徒にとってより学びを深められるような環境整備に精力的に取り組んでいる。実際、学校が再開したいまも生徒の通学は週1回程度で、あとは休校期間中から続くオンライン学習を今後もしばらく継続させる予定らしい。
◯新校長就任
この春より青田泰明氏が新たに校長に就任した。マスコミを通して目に触れる機会もあるが、まだ若く、エネルギッシュに改革に取り組んでいる印象。話しぶりも歯切れがよく、時代の変化に素早く・柔軟に対応してくれそうな、そんな期待感を抱かせてくれる。
新校長を中心に教職員の方々のまとまりも良さそうなので、これからの動きが楽しみである。
進学実績・入試情報
〈 2020年度大学進学状況 〉
今春卒業の283名の進路は、国公立大学40名(14%)、私立大学202名(71%)、浪人33名(12%)、その他8名(3%)となっている。
合格人数(現役生)としては、国公立大学45名(東京工業大1、筑波大1、千葉大3、東京外語大3、横浜国大10など)、私立では早稲田大28名、慶應大18名、上智大20名、東京理科大32名などとなっている。
〈 2020年度中学入試結果 〉
前年度に比べると総応募者人数は減っているが、合格偏差値は54まで上がってきている。数字を並べると、帰国生を含む総志願者数2,115名(男子1415、女子700)、総受験者数1,574名(男子1050、女子524)、合格者496名(男子313、女子183)、入学者178名(男子110、女子68)という結果となった。
〈 2021年度中学入試 〉
2/1、午前・午後
2/2、午前・午後
すべて2科・4科選択。
国語・算数 ―― 各50分・各100点
社会・理科 ―― 合わせて60分・各60点
合計320点満点
合格者の50%を国語・算数の合計点で選抜し、残りの50%を4科目選択者から選抜する。
※2回目以降の受験では、合計点に5点加点する。
コロナ感染症が懸念される中、状況によってはオンラインでの入試もありうるといったコメントも出た。帰国生入試でもオンラインを使ったりしているので、対応は可能との認識のようだ。
■感想
学校運営を軌道に乗せ、多くの受験生を集めるに至った関係者の努力に敬意を表したい。生徒集めには必要不可欠なものとはいえ、やや大学合格実績を伸ばすことに対しての偏りも感じるが、良き伝統・文化といわれるものはこれから時間をかけて作られて行くのだろう。私学ならではのユニークさが前面に出てくることを期待したい。
新校長を迎えて先生方の発散する熱量が上がっていることはよく伝わってくる。生徒にとってさらに魅力ある学校となるように継続した改革が進むことを願って止まない。
文責:A.M