実際に話を聞いて肌で感じた学校情報  第23回 共立女子中学高等学校

カテゴリ : 中学受験, 学校情報

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名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
通算23回目、2018年度の初回となる今回は、共立女子中学高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。

学校名 共立女子中学高等学校
所在地 東京都千代田区一ツ橋2-2-1
ホームページ http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/chukou/

学校概要

1886(明治19)年、共立女子職業学校として発足。
1947(昭和22)年、共立女子中学校設置。
1948(昭和23)年、共立女子高等学校設置。
2006(平成18)年、共立女子中学高等学校として6年完全一貫教育がはじまる(高校募集停止)。

■入試情報

◯2018年度中学入試

「インタラクティブ入試」を2/3午後に定員20名で新規導入した。
試験内容は、英語インタラクティブ・トライアル(100点)+算数(50点)。
導入の意図は、共立女子の教育理念(多様性・柔軟性)に沿った生徒を「合科型入試」「帰国生入試」とは違った切り口で集め、帰国生だけではないグローバルリーダーを育てたいといったところ。
受験資格は特に設けず、『海外経験があっても帰国生入試の受験資格のない者』や『国内独学で英語を学んだ者』を含めて英検3級程度の英語力のある生徒を対象としている。
入試本番前の昨年秋にチャレンジ講座(模擬入試体験)を開催したり、サンプルビデオ・サンプル問題を公開したりするなど、受験生のハードルを下げるために情報公開を積極的に行い、その結果20名の募集定員に対して出願者68名、受験者57名、合格者28名、入学者24名という成果を得た。受験者57名のうち、インタラクティブ入試だけを受験したのは36名、そのうちの合格者は19名である。
英語インタラクティブ・トライアルの試験内容は、個別の筆記試験ではなく、小グループでの英語を使ったゲームや対話等を通して受験生の英語コミュニケーション力を評価するものになっている。

「合科型入試」は導入3年目を迎えて、受験者数185名(昨年174名)と定着してきた感はある。
試験内容は、合科型論述テスト(100点)+算数(100点)+面接。
過去入学生の追跡調査も行っており、ベネッセ「総合学力調査」の成績では一般入試による入学者よりも成績の伸びが大きいというデータが出ているようだ。今後も、学力だけではなく行動力なども含めて追跡調査は継続していくとのこと。
どのようなデータが抽出されてくるか楽しみである。

「帰国生入試」は、定員を10名から20名に増やし、試験日も従来の1月上旬から12/3に変更した。受験資格も海外在留期間2年以上を1年以上に緩和し、さらに入学手続き締切り日を一般入試と同じ2/4に延長した。
その結果、志願者は128名と昨年度の46名の3倍近くに増え、受験者127名(昨年34名)、合格者107名(28名)、入学者22名(10名)と、レベルの高い生徒で見事定員を上回る入学者数を確保することができた。

以上のような入試段階における精力的な改革が受験家庭にも好意的に受け止められているようで、全体としては好調な入試である。今年は歩留まりが学校予想よりも高く、4月の新入学生は343名(募集定員+23名)となる予定。

◯2019年度入試

2018/3/5現在、まだ検討中とのこと。
2/3の午前・合科型入試と午後・インタラクティブ入試を入れ替えることを検討している。
今年導入したインタラクティブ入試に手応えを感じていることに加えて、合科型入試を午後に移すことによって2/3午前中に公立中高一貫校を受験した生徒も拾って行きたいという思惑を感じる。もともと公立中高一貫校入試とは一線を画すというメッセージでスタートした独自の入試であることを考えると今回の動きにはやや寂しいものも感じるが、学校側は「当初の意図に変更はない」と説明する。いずれにしろ試験時間に制約が出ることが想定され、また作問にも何かしらの影響が出るおそれはある。

■進学実績

<合格者数>
2018/3/5現在(現役のみ判明分)
早稲田大28名(昨年61)、慶應大15名(22)、上智大39名(43)、東京理科大25名(37)など。
医学部医学科は群馬大2名、北里大2名、昭和大・東京女子医大・愛知医大1名。
国公立大の発表はこれからだが、早慶上理を含む私立難関大の合格結果は厳しいものとなりそう。各私大の合格者絞込みという背景があるにしても、数字の落ち込みは大きい。進学実績UPが緊急の課題のひとつであることは間違いないだろう。
一方で医学部医学科については伸びが見られる。こちらは是非継続できるように期待したい。
共立女子大には、昨年は47名(約15%)が進学。

■教育の特徴

募集定員320名(40人×8クラス)と、都内女子校としては最大規模の学校。
その環境を生かして、中高6年間を通して多くの友人との出会いの場を作り、豊富な学校行事を通してさまざまな経験を積み重ねさせる。多様な個性・価値観を持つ他者と接する中で、将来的な社会の変化に対応できる幅広い力をつけさせることに力点を置く。
リベラルアーツを重視した教育を土台に幅広い教養や好奇心を育み、一方で礼法を正規の授業として取り入れるなど日本の文化・伝統、日本人の心を学ぶ機会を設け、グローバル社会を生き抜く力を身につけさせる。
女子校の中ではやや出遅れ感のあった英語教育も、入試改革と平行してここ数年の取組みには顕著な進展が見られる。週1回のネイティブによる英会話授業以外に上級者向けの英会話取り出し授業も行われ、また授業外のプログラムとして海外研修や異文化体験プログラムが多数用意されている。また英検・GTEC(中2~高3全員)・TEAP(高2全員)などの外部英語検定対策にも力を入れ、さらに習熟度別授業やコース別演習、AO・推薦入試対策や入試実践問題演習など、来るべき大学入試改革への対応にも力を入れている。
新たな講座やプログラムが蓄積されて盛りだくさんな内容になっているが、学校曰く「共立の英語教育は慌てない!」だそうです。この多彩なプログラムが十分に機能するかどうかが生徒の成長と今後の学校の活性化につながるものになりそう。

■学校を訪問してみての感想

生徒数の多さもあって、にぎやかである。
「これだけの人数がいれば、気の合う生徒は見つかる。」という在校生の言葉が面白い。ポジティブにならざるを得ない環境というのも、良しかもしれない。
都内中心部にある学校なので校庭の広さなどは決して恵まれているとはいえないが、その中でクラブ活動も活発に行われている。個人的には太極拳部に惹かれるものがある。

単に受験生を集めるために新しい入試形態を導入するというのではなく、先行して内部の教育改革を進めてきたのがこの学校の良いところである。これが逆になると改革を継続することができないし、入学してきた生徒を悲しませるようなことにもなりかねない。
まだまだ改革の道半ばと感じるが、生徒のためにも実り多い結果となることを祈りたい。

(文責:A.M)

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