実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第8回 山脇学園中学校・高等学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第8回目の今回は、山脇学園中学校・高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 山脇学園中学校・高等学校 |
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所在地 | 東京都港区赤坂4-10-36 |
ホームページ | http://www.yamawaki.ed.jp/ |
■学校概要
- 1903(明治36)年創立の女子校。
- 地下鉄銀座線・丸ノ内線、赤坂見附駅から徒歩5分。
- 建学の精神は「女性の本質を磨き、いつの時代にも適応できる教養高き女性の育成」。
社会で生き生きと活躍する女性リーダーの育成をめざす。
■入試情報
A日程(2/1)・B日程(2/2)・C日程(2/4)の3回入試、いずれも4科。
募集定員は100名・100名・40名。
2016年度から、12月に行う帰国生入試とは別に一般生を対象にした英語特別枠入試を始めた。
入試日は一般入試と同じ2/1・2・4、英検3級以上が条件で入試科目は英・国・算。募集定員は帰国生を含めて40名。初年度は応募者96名・受験者51名・合格者37名。
同時に「クロスカルチャークラス」を設置した。
◯2016年度中学入試
昨年に比べて志願者は微増(英語特別枠入試を除くと1515名→1544名)。
サンデーショックの翌年だが2/1の志願者数も減らしておらず、受験生人気が定着してきている。第一志望の生徒が増えており、入学者の2/3を占める。
3~4年前の爆発的な志願者の増加は落ち着きを見せてきたが、今後も2倍以上の実質倍率が続くと思われる。
◯2017年度入試
募集要項に変更なし。
■進学実績
昨年に比べてやや下がった。
国公立大14名→9名、早稲田大36名→21名、慶應大7名→6名、上智大16名→10名など。
■教育の特徴
- 2008年に短大の募集を停止して校舎・敷地の改築に手をつけ、2009年に「山脇ルネッサンス」を始動させて新たな学園作りをめざして改革をスタートさせた。
- 2015年春に新校舎竣工。現在、九十九里臨海学校松籟荘に置いた重要文化財「武家屋敷門」の移設工事を行っている。今年8月には工事完了予定。
- 「女性としての志と資質を高める教育」に力を入れ、学年ごとの教育プログラムを作り実践している。
- 英語教育に特化した『イングリッシュ・アイランド(EI)』、理科教育に特化した『サイエンス・アイランド(SI)』と名づけたエリアを作り、改革の方向性・学校の特色を明確に示す。
- 今年度から新たに『リベラルアーツ・アイランド(LI)』を稼働させた。当初は国語科・社会科でテーマを設定してグループワーク・ディスカッションを実践するといったものだが、回を重ねるごとに内容も深まっていくはずである。
■学校を訪問してみての感想
新校舎の建て替えが終わり、きれいで明るい学校ができあがった。
改革当初は周囲からの懐疑的な目もあったが、ハード部分の整備に負けない勢いで教育内容の積極的な改革がなされている。
特に『サイエンス・アイランド』に置かれた「継続実験室」は大学の研究室に似た雰囲気もあり、生徒は文字通り単発には終わらない継続した実験をここで行っている。実験器具に貼られた「さわるな!」という貼り紙が頼もしい。担当教員の理科教育に対する強いこだわりと、それに応じる生徒の熱意が伝わってくる。知識に先行する、実験を通した多くの実体験がここから生まれてきているように思う。
さらに、今年から始めた『リベラルアーツ・アイランド』を高く評価したい。
発想が大胆であり、また斬新である。
リベラルアーツとしての基礎教養をどこまで深められるか、高校生レベルでの取り組みに不安はあるが、あえてそこに踏み込む学校の姿勢に敬意を表する。このエリアで過ごす時間が彼女たちにどれほどの影響を与えることになるのかはわからないが、このあと大学へと進み、その後社会に出る過程で必ず生きてくる大切な教養的基盤がなにか得られるはずである。
名ばかりのアクティブラーニングを吹聴する学校とは違う、実のある改革となって欲しい。
■名門会担当者より一言
「EI」「SI」「LI」といったテーマパークのような遊びのあるネーミングに少し戸惑うかもしれないが、中身はしっかりしている。
今年の大学入試結果を見て来春の中学入試志願者はひょっとすると減少するかもしれないが、目先の志願者の増減にはこだわらず今の姿勢・方向性を継続してほしい。
希望する大学への進学も「志」なのでそこはしっかりと対応してほしいが、生徒の未来を創造する教育を実践する環境作りは注目に値する。
学校の空気になじめる生徒には薦めたい学校である。
(文責)A.M.