実際に話を聞いて肌で感じた学校情報　第5回　品川女子学院

名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介！
第5回目の今回は、品川女子学院をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。

■学校概要

• 1925（大正14）年に荏原女子技芸伝習所として設立され、1929（昭和4）年に品川高等女学校となる。1991（平成3）年に校名を品川女子学院に変更して、6ヶ年一貫教育をスタートさせた。
• 建学の精神は「志願無倦（しがんうむことなし）」。志を立てたらそれが叶うまで決してあきらめない、という意味。
• ＪＲ品川駅から徒歩12分、京浜急行・北品川駅から徒歩2分。

■入試情報

2/1・2/2・2/4の3回入試。
募集定員は100名・70名・30名。

◯2016年度中学入試

第1回・第2回は従来通りの4科入試。
第3回（2/4）を2016年度から総合型入試に変更した。
試験内容は「試験Ⅰ（4科総合） + 試験Ⅱ（読解・論述）」。
従来の学科試験では拾えないユニークな可能性を持った生徒を迎え入れたいという趣旨で、この学校の長年にわたる積極的な教育活動とその成果に裏付けされた、周到に準備された入試改革だった。2/4という入試日でわかるとおり、公立中高一貫校との併願生を拾おうというようなものとは全く違う思想・信念・自信に満ちたものである。
結果としては、合格ラインは学校が想定したものよりはやや下であったようだが、思惑どおりに行かなかったことを含めて得られたものも多かったようだ。

◯2017年度入試

第3回入試の試験Ⅰ（4科総合）の試験時間を60分から70分に延ばす。
他は変更なし。

■進学実績

今春の卒業生は205名

＜現役合格者人数＞

国公立大13名、早慶上理65名（早稲田19・慶應18・上智12・理科大16）
4年生大学への現役進学者194名（94.6％）

■教育の特徴

• 「世の中に貢献できる女性を育てる」という理想の下、2003年に『28プロジェクト』をスタートさせた。これは28歳が女性のターニングポイント・28歳になったときに社会で活躍している女性を目標と考え、そこからの逆算でコミュニケーション能力・高い学力・国際舞台で活躍できる英語能力などを長期的プログラムに沿って身につけさせようという教育の実践である。2006年に就任した現校長がそのプロジェクトを加速させ、他の多くの女子校にも多大な影響を及ぼしている。
  「28歳になったときに輝けるようになるために、そのために必要なことはすべてやる」という校長の熱意が校内に充満している。
• 2002年から、時代に先駆けて本格的なアクティブラーニングに取り組んでいる。また、さまざまな企業（Yahoo・キューピー・伊藤ハムなど）とのコラボレーションで新商品の開発に携わるなど、外に向けての活発な活動・情報発信をしている。
• 一昨年にはSGH（スーパー・グローバル・ハイスクール）にも指定され、海外留学・異文化交流にも積極的である。
• 学校が大切にしているものは「失敗」「もめごと」「チームでの競争」「忙しさ（マルチタスク）」の四つ。ヤワな学校であればこれだけでぶっ飛びそうである。学習・学校行事・部活を柱として、年間を通してあえて忙しさを作りだす。その中での効率的なスケジュール管理と頭の使い分け（マルチタスク）を求める。

■学校を訪問してみての感想

主張の明確な学校である。受験生側からすれば、好き嫌いがはっきりする学校だと思う。
「中高6年間はその子の一生に大きな影響を与える。各私学はそれぞれがそれぞれの理念を持ち伝統を作ってきた。だから私学なのだが、その中でその子にあった学校選びをしてもらいたい。もし当校が希望する学校になるのであれば幸いである」
校長の言である。あたりまえと言えばあたりまえの話だが、自分の学校に自信がなければ口にはできない言葉だろう。
入試広報からも併願校などの説明は出てこない。他校との比較ではない、ということだろう。

■名門会担当者より一言

入学前からポジティブな生徒・主張のはっきりとした生徒ばかりが集まってきているわけではない。一般的な女の子が適切なアドバイスを受け、自己肯定とともに表現の機会を与えられるとこんなに元気になる、という一つの形である。
「リーダーを育てる仕組みのある学校」という校風に魅力を感じる生徒にとっては、手応えの持てる学校だと思う。
女性のあるべき姿についてはそれぞれの家庭で考え方が違うはず。女性の活躍を強制するな、といった考えを持つ家庭は避けた方が良いと思う。

（文責）Ａ．Ｍ．