実際に話を聞いて肌で感じた学校情報　第6回　東洋大学京北中学・高等学校

名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介！
第6回目の今回は、東洋大学京北中学・高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。

■学校概要

• 1899（明治32）年、東洋大学の創立者・井上円了により設立される。
  1951年に東洋大学と分離して学校法人・京北学園となるが、その後2011年に東洋大学と法人合併して併設校となる。さらに2015年に附属校となり男女共学化され、場所も現在地に移転して中学・高校での新規生徒募集を始めた。
• 都営三田線・白山駅から徒歩7分。

■入試情報

2/1午前・午後、2/2・2/4の4回入試。すべて2科・4科選択。
募集定員は90名と少ない。

◯2016年度中学入試

新設ということで多くの受験生を集めた初年度（2015年度）入試に比べると、総志願者数で約300名・受験者数で約200名の減少だった。初年度入試からの揺り戻しと募集定員を減らしたことでの志願者減だが、学校としては想定の範囲内だったようだ。
むしろ、学校が意図した受験生のレベルアップが狙い通りに進み、上位校との併願者が大幅に増えた（海城・本郷・青山学院など）。その分入学手続き率は下がると見ていたが、予想に反して59％から63％に上がった。受験生の当校への進学意識の高まりの結果であり、それにつれて入学者の学力平均も確実に上がってきている。

◯2017年度入試

2/4（第4回）入試を『「哲学教育」思考・表現力入試』に変更する。定員は10名。
詳細は9月に発表される予定だが、記述・論述型の出題形式で「哲学的思考力問題」と「要約・論述問題」の2問構成になるようだ。
このような公立中高一貫校のいわゆる適性検査型入試とは一線を画す思考力を問う入試問題が共立女子・品川女子学院などの女子校でも導入され始めているが、今後は他の多くの私立中学入試で取り入れられことになりそうだ。

■進学実績

難関大学への進学者はまだ数名が現状。
2015年度入試で入学してきた共学化一期生は現在高2と中2生。この生徒たちが受験を迎える再来年の春が最初の勝負の年となる。
学校が掲げる目標は、東大・東工大・一橋大で5名、国公立大全体で20名。早慶上理40名、GMARCH 80名。

■教育の特徴

創立者の哲学思想「諸学の基礎は哲学にあり」を教育理念として生徒の育成を進める。
基本方針は「哲学教育」「国際教育」「キャリア教育」。
哲学教育といっても眉間にしわを寄せるような哲学者の育成をめざすのではなく、物事を深く考え・適切に判断し・自分の考えを表現できる力を身につけさせることを目的とし、社会で有用な人材となるための生き方の学びであり、自ら考え・論じ合い・自問する、いわばアクティブラーニングの実践である。
数ある私学の中でも哲学教育を基本方針にしている学校は珍しいが、キリスト教教育を実践する学校と同じように、いかなる時代になっても変わることのない人間教育・時代に左右されない人材教育への熱い思いと強い信念を感じる。

■学校を訪問してみての感想

新築の校舎はグラウンドも含めてきれいである。
中央に幅の広い階段を置き、空間の広がりがあり風通しも良い。
以前の男子校時代の名残はない。
共学化に当たっては、当時の在校生である男子生徒への精神的なマイナスの影響を学校側も心配していたが、予想に反して肯定的な受け止め方をした生徒が多かった。当時の中3生（新たに入学してくる女子生徒と一緒に高1になる生徒）には、高1になった際には男子クラス・共学クラスを選べるようにしたが、共学クラスを選んだ生徒が多かったとのこと。
今後は大学進学実績にもこだわる。
その分日々の勉強は厳しくなるが、都立日比谷高校から2012年に着任した校長を中心に生徒にはきめ細かく対応している。まだ形になっていないところも多いが、各教員は熱意を持って授業に取り組んでいるように見える。

■名門会担当者より一言

「教員の半数は変わってきている」という校長の言葉には、学校改革の困難さと同時に、確実に実を結びつつあるさまざまな試みに対する手応えが伝わってくる。
大風呂敷を広げず、一歩一歩確実に、かつ意欲的に前に進もうとする姿勢は大変に好感が持てる。基本的に学校と教員は謙虚である。
今後の発展を期待したい。

（文責）Ａ．Ｍ．