塾対象の学校説明会から情報をピックアップ 第6回 青山学院中等部
まもなく創立150年を迎える青山学院は、キリスト教の信仰にもとづいた教育を実践し、幼稚園から大学院までを擁する総合学園。渋谷駅から徒歩10分という立地の青山キャンパスは明るく開放的な空気に包まれています。
中学入試については、昨年は2/2が日曜日と重なり入試日を2/3に変更しましたが、今年度は本来の2/2に戻して実施されました。他の学校同様に感染症対策には細心の注意を払って事前連絡を徹底し、当日もしっかりとした対応で混乱なく入試は遂行されたと報告がありました。
新学期が始まり、例年通りとはいかないまでも新たな学校生活がスタートし、新入学生も元気に通学しているようです。コロナ感染状況はいまだ厳しいものがありますが、そんな中で4/20に塾対象の入試報告会が開かれ、2021年度入試の結果や学校生活の様子など貴重な話を聞くことができました。その中から一部内容をお伝えします。
学校名 | 青山学院中等部 |
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所在地 | 東京都渋谷区渋谷4-4-25 03-3407-7463 JR山手線・埼京線、東急線、他「渋谷駅」より徒歩10分 東京メトロ「表参道駅」より徒歩5分 |
ホームページ | http://www.jh.aoyama.ed.jp/ |
校舎正面
■入試情報
〈 2021年度 入試概要 〉
募集人員:男女合わせて約140名(※)
入試日:2/2(火)
試験科目:国語(50分・100点)、算数(50分・100点)、
社会(25分・50点)、理科(25分・50点)
合格発表:2/3(水)10:00~15:00(HPのみ)
手続き:2/3(水)10:30~15:00
※1学年の定員は男女各128名で、初等部からの入学者を差し引いた人数が受験入学者数となる。2021年度入試では初等部からの入学者が男子57名、女子63名だったので、必要受験入学者数(募集人数)は男子71名、女子65名、合計136名となった。
〈 2021年度 入試結果 〉
志願者数:男子417名、女子621名、合計1038名
受験者数:男子353名、女子546名、合計899名
合格者数:男子118名(63名入学)、女子90名(55名入学)、合計208名(118名入学)
補欠者:男子10名(8名入学)、女子10名(10名入学)
合格者平均:男子181.7点、女子202.4点
合格最低点:男子162点、女子191点
補欠最低点:男子159点、女子187点
全体平均:男子143.8点、女子157.8点
教科別に見ると、合格者平均と全体平均の差が最も大きいのは、やはり算数。男子で14点、女子で17点余りの開きがある。
手続き後の辞退者の進学先としては、男女ともに慶應・早稲田・明治の附属校と広尾学園など。女子は東洋英和やフェリスなども。
コロナ対応として、試験中はドアを開け、休み時間には換気を行った。生徒にはマフラーなど防寒着の着用を認め、試験終了後は時差をつけての退室、その後保護者との合流とした。
また、在校生の手伝いはなくし、解答用紙を問題用紙に挟み込む形式に変更した。
過去、2/3入試の翌年は志願者が減る傾向にあったが、今回も女子は昨年比で+2名だったが男子は△102名と大幅な減となった。半面、当日の欠席者が男女ともに大幅に減り、その結果受験者数は女子が昨年比+57名と増え、女子には一層厳しい受験となった。
■2021年度入試問題 教科別入試結果データ
合格者と不合格者で、各教科正解率の差が大きかった問題については以下のとおり。
入試問題は中等部HPで公開されているので参照してください。
[ 国語 ]
問1(1)(6)
漢字の書き取り問題
問3(3)
比喩的表現の解釈(4択)
問4(2)(3)(8)
四字熟語、慣用表現、主題の理解(4択)
詩・随筆・物語・説明文と漢字の書き取りの大問5題。当然読解力は求められるが、意外に知識分野で差がついたりしているようだ。
[ 算数 ]
問5、6、8、14(1)・・・特に差の大きかった問題
問7、9、12、13(2)
全部で14題。問1~3は計算問題、問4~9は文章題、以下図形の面積・容積など。
文章題は一般的な内容で、ここはしっかりと正解したいところ。
[ 社会 ]
問2(4)(5)、5(3)・・・特に差の大きかった問題
問4(2)、5(1)(2)(4)
大問6題。基本的な地理・歴史の問題と、インターネットなど時事的要素を含んだ出題もあり。年表を使った問題(問5)で正解率に差がついたという結果になっている。
[ 理科 ]
問1(2)(3)・・・特に差の大きかった問題
問3(2)、4(3)(5)、5(5)
大問5題。問1は小問集合、あとは物化生地1題ずつ。
問1は各分野の基本問題なのでここを落とすと痛い。
4科を通して特別な難問はないが丁寧な解法を求められる問題が多く、また全体的に出題数も多いので、知識問題を含めて基本的なものは迅速・確実に正解したい。
■2022年度入試
入試日、入試科目、合格発表・手続き日など変更なし
■所感
エントランス大階段
2017年2月に完成した地下1階、地上6階の新校舎は、教科ごとにフロアを分けた「教科センター方式」を採用し、風通しの良い明るい佇まいとなっている。「教科センター方式」とは、各フロアを回廊型の作りにして教室を配置し、生徒は教室で先生が来るのを待つのではなく自分の時間割に従って所定の教室に移動して授業を受ける「向かう授業」を実践する方式である。図書館としての機能を持つメディアセンターがハブとなって各教科のメディアスペース(教科の発表やグループ作業を行うオープンスペース)と連携しながら、探求型の学びを深める役割を担っている。
現在は感染症予防のために一時的に従来型の授業形式に戻しているようだが、状況が落ち着けばまた活発な学びの日常が始まるはずである。
3年生が履修する週2時間の選択授業は、俳句・理科実験・暗号入門など科目の枠にとらわれない25前後の講座から生徒が希望のものを選択して自主的に学ぶもので、各自の関心を深めて可能性を広げるために大きな役割を果たしている。
「3年間で成長する学校」「安心して通わせられる学校」を担当教員は強調していた。
数学メディアスペース
高校卒業後は約85%の生徒が青山学院大学に進む。基準を満たせば希望者全員が進学可能である。他大学への進学を希望する生徒は多くはないが、それぞれの志望目的が明確であり、しかもその進路に進むための裏付けとなる学習と経験をしっかりと蓄積した生徒が多い印象がある。自主性を重んじる校風の、一つの成果かもしれない。
2022年度入試でも多くの受験生を集めることになるだろう。志望する受験生はしっかりと基礎を固めて本番に向かってもらいたい。
文責:A.M