実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第19回 中央大学附属中学校・高等学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第19回目の今回は、中央大学附属中学校・高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 中央大学附属中学校・高等学校 |
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所在地 | 東京都小金井市貫井北町3-22-1 |
ホームページ | http://chu-fu.ed.jp/ |
■学校概要
- 1909(明治42)年に、現・新宿区下落合に目白中学校として創立されたのが本校のはじまり。
その後、移転・校名変更を経て、1952(昭和27)年に中央大学と合併して中央大学杉並高等学校と改称する。 - 1963(昭和38)年に現在の小金井市貫井北町に新校舎を作り、同時に中央大学附属高等学校と改称する。
- 2001(平成13)年、男女共学を実施。
- 2010(平成22)年、中学校開設。
- 中学校は1学年5~6クラス、高等学校は1学年9~11クラスで編成されている。
- 1クラスは原則34名以下、男女比は半々になるように調整している。
- 中央大学へは毎年90%弱の生徒が推薦で進学している(2017年3月は87%)。
高1~高3・2学期までの定期試験・学力テストの総合点で推薦成績がつくられ、推薦順位の高い生徒から希望学部・学科を選択することができる。
■入試情報
2/1と2/4の2回、4教科入試(国算・各100点、社理・各60点)。
募集定員は第1回が男女100名、第2回が男女50名。高校からも200名の募集あり。
◯2017年度中学入試
応募者人数は、昨年に比べて第1回が▲34名、第2回が+65名、合計で+31名だった。
男女別でみると、2回合計で男子が▲64名、女子は+95名となり、女子の志願者増が全体の数字を押し上げた結果となった。
<原因分析>
男子の減少は、実質倍率が3倍を超えて難化した前年入試の反動と、明大附属3校(特に明大中野)に志願者が流れたと思われること。
女子の増加については、全体的な共学校指向・大学附属校指向の流れに加えて、同じ中大系の中大横浜が志願者減になり、その分の上乗せがあったのではないかとのこと。
併願校は、明治・青山・立教・法政など圧倒的に大学附属校(MARCH)が多い。
第2回入試では、これに早慶附属が加わる。
複数回受験をした場合の優遇処置はない。
補欠合格は第2回入試受験者を対象とし、若干名を候補者とする(掲示・HPでの発表は行わない)。昨年から実施した制度だが、2016年度は補欠合格者はなし。2017年度は男女各12名が候補者となったが、男子は合格0名、女子12名のみが繰上げ合格となった。
◯2018年度中学入試
変更なし。
■進学実績
今春卒業生369名。
中央大学進学者320名(推薦合格者322名)。
他大学へは、国公立大学9名(既卒生2名、中入生4名、高入生3名)、私立大学39名(既卒生5名、中入生24名、高入生10名)。
合格者人数は、早稲田大8名・慶應大8名・上智大15名・東京理科大4名など。
ここ2~3年、医療系の大学・学部への進学者が増えている。
中央大学への推薦資格を保持したまま国公立大学は制限なしで受験ができ、私立大学については中央大学にない学部・学科の受験は認められている。
学校の言葉として「積極的に他大学進学をすすめるわけではないが、本人の意思は尊重し、不利益にならないように応援する」。
■教育の特徴
昨年春に中学入学第1期生が卒業した。
その生徒たちにあわせるように、高3に「他大学併願受験クラス(文系・理系)」を作っている。
中央大学にその中核となる生徒を送りだすことを附属校として第一義としているが、他大学受験生のためにセンター対策講座・小論文対策講座などの各種課外講座やAO・推薦に備えた模擬面接なども行い、生徒の多様な進路実現のためのバックアップをしている。
本来的には「自主・自治・自律」を基本として、全科目主義・大学受験にとらわれない教育など、附属校としての優位性を最大限に生かすことのできるカリキュラムを6年間通して実行している。
中学段階から「Project in English(中1~高2)」「Project in Science(中3~)」と称して英語によるチーム・ティーチングを行ったり、科学については中央大学理工学部の実験室を使った本格的な実験も行ったりしている。これが高校における学びに継続され、グローバルな視点での問題解決能力の育成や英語によるプレゼンテーション力の獲得にもつながり、またサイエンス分野において海外での野生動物観察・オーロラ観察と実験など、ダイナミックなあらたな取り組みも始めている。
2018年度からは高校課程において教科横断型科目「教養総合」が予定されている。
学問が実社会とどのように連携しているのかを意識するためのカリキュラムであるが、文化研究・地域研究・社会研究・数理研究など大学で学ぶ分野との関連を強く意識した内容になっており、大学院進学までを見据えた、受験とは異質の探究活動ができるような内容になっている。
■学校を訪問してみての感想
広々とした敷地に各種設備が配置され、生徒はのびのびと学園生活を送っている印象。
高校は制服がなく校則もない。感覚としては、そのまま大学である。
中心的な建物になっている7階建ての1号館には、延べ床面積約8,000㎡の中に各種実験室や教員とのコミュニケーションフロアなど多目的なスペースが数多く用意され、また正門を入ってすぐ脇にある図書館は授業で使われることも多く、収められた蔵書は約18万冊にもなる。
あらたなカリキュラムの作成や深く掘り下げた実験・研究や発表を通した思考力・表現力の育成など、教育内容は目に見える形で進化している。
また、体育祭・文化祭(白門祭)など生徒主体で行われる年間行事は各自の参加意識が高く大いに盛り上がる。
自然な活気がキャンパス全体に広がっている。
■名門会担当者より一言
単に大学附属校というだけで選ばれるのではなく、早慶をはじめとする他の附属校にはない(できない)教育を具現化できるようになると非常に面白くなると思う。
大学の先にある実社会でいかに生きるか、将来の活動に焦点を合わせた中高6年間を通した教育の進め方や新たな取り組みを見ていると、そんな可能性も十分に感じられる。
何より、一昔前の中附生と比べても、学ぶということに対して真面目な生徒がより増えているように感じたのは、学校の姿勢の変化が大きな要因になっているのではないだろうか。
一度は足を運んでみてほしい学校である。
(文責 A.M)