実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第9回 武蔵高等学校中学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第9回目の今回は、武蔵高等学校中学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 武蔵高等学校中学校 |
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所在地 | 東京都練馬区豊玉上1-26-1 |
ホームページ | http://www.musashi.ed.jp/ |
■学校概要
- 1922(大正11)年に日本初の七年制高等学校として創立された男子校。
- 1948(昭和23)年に新制高等学校となり、翌年に武蔵中学発足。同年、武蔵大学が開学された。
- 2000(平成12)年に高校入試廃止。
- 西武池袋線・江古田駅、徒歩6分。
■入試情報
毎年、入試が終わった後の2月中旬に、塾などを対象にした入試結果報告会を行っている。その年に出題された入試問題の出題意図などが科目ごとに報告され、短い時間ではあるが内容的には濃いものがある。
他校もこの時期に同様の報告会をやってくれないものか、と切に願う。そうすれば、多くの塾が独りよがりの問題分析をしなくてすむ。
◯2016年度中学入試
2/1の1回入試、募集定員は160名。他校に比べて少なめである。
志願者数608名、受験者数590名、合格者数183名。
過去3年間の志願者は531名 → 569名 → 608名と伸びてきており、復調の気配が見える。
◯2017年度入試
変更なし。
■進学実績
大学ごとの合格者数は非公表、進学者数のみHPで公表している。
塾対象の説明会においても大学進学実績に関する資料・説明はない。
今春の進学者人数は、東大26名(現役19名)など国公立大へは78名(現役46名)、早稲田大20名(現役9名)・慶應大20名(現役13名)など私立大へは70名(現役32名)が進学。
海外大学へは現役生が3名進学。
今春卒業生166名のうち現役での大学進学者は81名、5割弱である。
「大学進学のための教科指導は行わない」という学校の方針が、結果として数字にも出ている。
指導方針としては賛成だが、進学実績を学校選びの判断材料にしている家庭は相変わらず多く、特に成績上位生の獲得ということを考えると悩ましいところである。
■教育の特徴
「武蔵の学びは大学受験だけをめざしているわけではない」という考えが根底にあり、そこにユニークな授業が行われる土壌がある。そして、いわゆる『変わり者』の生徒が育つ風土がある。
「素直な子」「先生の話に頷く生徒」は要らない、というくらいの学校で、最近は少し変わってきているようではあるが「面倒見の悪さ」においては天下一品である。
入試問題もマニュアル的な勉強をしてきた生徒をふるい落とそうという意図を感じる。
グローバル化にも早くから対応し、1988年からイギリス・イートン校などでの海外研修を行っている。これは研修参加者が自分の力で準備を行い教員はつかずに1人で出かけるような内容で、学校が引率するような海外研修とは色合いが異なる。
「グローバル=海外」「グローバル=英語」だけではないという理念もあり、本当の学力を身につけさせることを目的とし、リベラルアーツを重視した人間力の育成に力を入れる。
■学校を訪問してみての感想
大学と同じ敷地内にあり、広く自然豊かな環境。敷地の中ほどには小川が流れ、ヤギも二匹飼われている。(生徒が面倒を見ている)
非常に優れた教育の伝統はまったく色あせてはいないが、そうかと言って伝統にしがみついているわけではない。「変わらないために変わり続ける」という校長の言葉もあった。
■名門会担当者より一言
「将来研究者をめざす生徒にとってはこの学校は最高ではないか」そんな思いを抱く。
ユニークな教育の実践を継続させるためには、それを充分に味わうことのできるような高いレベルの知的好奇心を持った生徒の存在が不可欠であり、ここ数年の課題であった。
今回の大学入試改革が、恐らくこの学校にとっては追い風になると思われる。
魅力ある私学として輝きを増してほしい。
(文責)A.M.