実際に話を聞いて肌で感じた学校情報
第38回 文京学院大学女子中学校高等学校
名門会の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第38回目の今回は、文京学院大学女子中学校高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 文京学院大学女子中学校高等学校 |
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所在地 | 東京都文京区本駒込6-18-3 JR山手線、都営三田線 巣鴨駅 / 徒歩5分 JR山手線、東京メトロ南北線 駒込駅 / 徒歩5分 |
ホームページ | http://www.hs.bgu.ac.jp/ |
(校舎とグラウンド)
■沿革
1924(大正13)年、現在の文京区向丘に島田裁縫伝習所が開設、昭和2年に本郷家政女学校と名称変更された
1947(昭和22)年、新学制により文京学園女子中学校を開校、翌年2月に高等学校を開設。昭和29年に付属幼稚園を開設
1964(昭和39)年、文京女子短期大学を開学
1991(平成3)年、文京女子大学を開学。文京女子大学高等学校・中学校と校名変更
2002(平成14)年、文京学院大学女子高等学校・中学校と校名変更
2020(令和2)年6月、アオバジャパン・インターナショナルスクールとの教育提携を発表
2021(令和3)年9月、駒込キャンパス敷地内にアオバジャパン・インターナショナルスクール高等部が移転・開校予定
■学校情報
2021年9月に、キャンパス内の駒込駅寄り校舎の一部で、『アオバジャパン・インターナショナルスクール』が稼働を始める。
2024年に創立100周年を迎える文京学院は、いま「BUNKYO100」と銘打った改革を進めており、従来から行ってきたグローバル教育や探究活動をさらに推し進めるために新たな教育環境を作り出そうとしている。独自に培ってきた教育ノウハウに、新たにアオバの持つバイリンガル教育と異文化コミュニケーション環境を加えることにより、改革に弾みをつけようとしているのだろう。
このたびの教育提携で目指すものとして「英語力の向上」と「論理的思考力の向上」をあげており、教員・生徒ともに期待値はかなり高いものがあるようだ。
アオバジャパンは1976年に東京・目黒に設立されたインターナショナルスクールで、当初は小学校入学前の未就学児向けの幼稚園であったが、現在は幼児から12年生(高校3年生)までが学ぶ学校として、練馬区光が丘に拠点を移して活動をしている。幼小中高の全てが国際バカロレア(IB)認定校となっているのは都内では2校だけで、そのうちの1校がアオバジャパンである。キャンパスにはアジア・オセアニア・欧米・中東など世界の多様な国々の出身者が集い、その中のG9~12(中3~高3)の生徒約100名が、来年の9月からは文京学院女子の生徒と同じ駒込キャンパス内で学園生活を送ることになる。最大限の相乗効果が生まれることを期待したい。
来年9月スタートに向けて学校サイドも準備に忙しい。各方面からの情報収集と試行錯誤に奔走しているようで、関西の千里国際中等部・高等部にも足を運び見学も兼ねてノウハウを学ばせてもらったりもしているようだ。ここは、インターナショナルスクールが同居する関西学院大学の附属校で、モデルケースとして参考にできるところが多いのだろう。
■教育内容
(エントランスホール)
(ネイティブ教員との歓談)
高校では、国際教養(グローバルスタディーズ)・理数キャリア(アドバンストサイエンス)・スポーツ科学(スポーツサイエンス)の3コースに分かれる。
国際教養コースは、2015~2019年のSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト指定校としての経験の上に、将来的に国際社会で活躍できる人材の育成を目的としたコースで、語学力に加えて、自国の文化・言語の対する深い理解を前提とした文化発信力の育成に力を入れる。
理数キャリアコースは、都内の女子校では初めてSSH(スーパーサイエンスハイスクール)としての指定を受けて以来、2012~2017年の6年間にわたって推進した研究プロジェクトが土台となっている。海外連携校との科学交流として毎年相互に行っているサイエンスフェアや、マレーシア・サイエンス研修旅行、国内での校外学習を通しての環境科学を考える授業など、多様な実践を通して将来理工系女性研究者としても活躍できるような人材を育てている。
スポーツ科学コースは、部活動などのスポーツ活動と勉強との両立を実現させながら、スポーツ科学系、体育系、看護・医療系、栄養、環境、情報、経営などの多様な進路を目指す生徒をサポートするコース。実際卒業生の進路は9割近くが4年制大学であるが、学部学科は多岐にわたり、コース設立の趣旨がよく反映されたものとなっている。
中学では、この高校のコースへつながるステップとして、中学1年のファンデーションステージで学習習慣と基礎学力の定着を図り、中2~3年のアクティブラーニングステージで、高校からの3コース進路選択にむけて各コース別の得意分野を探求するコース別研究に取り組む。
中高を通して教育のベースにあるのは『創立96年の女子校としての、日本型教育の継承と発信』。日々の生活場面での礼儀・マナーや品位・規律など教科以外で獲得する多様な力を大切にしている。日本人女性としての特質と強みを国際社会でも発信できるように、アイデンティティの確立を目指すということだろうか。
■2021年度中学入試
◯教科型入試(前期)
2/1午前 / 60名、2科 or 2科+選択(国算+理科・社会・英語の計6題から2題以上を選択)
2/1午後 / 15名、2科得意型(国算2科のどちらか高い得点を2倍にし、200点満点で判定)
2/2午後 / 10名、2科 or 2科+選択
2/3午後 / 5名、2科 or 2科+選択
2/4午後 / 若干名、4科(特待チャレンジ)
◯教科型入試(後期)
2/10午前 / 若干名、2科得意型
◯適性検査型入試
2/1午後 / 適性検査Ⅰ・Ⅱ
◯思考力入試、英語インタラクティブ入試
2/1午後、2/4午前
※募集人員は、適性検査型・思考力・英語インタラクティブの合計で15名
■その他
コース制のメリット・デメリットはあるが、当校にはSSH ・ SGHアソシエイト指定校としての活動の蓄積がベースとしてあり、その発展的学習として生徒の将来の進路を明確にできるという方向性は実現されつつあるのではないだろうか。各コースとも環境設備の充実も進み、学びの質も深まっていると感じられる。
このたびのアオバジャパン・インターナショナルスクールとの教育提携がどのように実を結ぶか、少なくともマイナスに働くことはないだろうと思う。両校の生徒の素直な興味津々さが新たな活力につながっていくのではないだろうか。
併設の文京学院大学(共学)も本郷とふじみ野にキャンパスを持ち、保健医療技術学部を中心に近年元気である。内部進学者は少ないが、優先入試制度や併願受験制度もある。
改革の動きが目に付く女子校は多いが、その中でも今後の教育環境の充実に期待が持てる学校のひとつである。
文責:A.M