受験生の皆さん、「学習のロードマップ」できていますか?
カテゴリ : 中学受験, 医学部受験, 大学受験, 高校受験
5月25日、全国の緊急事態宣言が解除され、“新しい生活様式”へのさまざまなロードマップが示されています。
この文章を読んでくれている方、特に受験生は、“2021年度受験はどうなるか?”、“どのように勉強を進めていくべきか”が、今最大の関心事ではないでしょうか。
また、「臨時休校はこれで終わりとは限らない。この先も休校の可能性があり、その影響は何倍にもなるかもしれない」ということにも留意しなくてはいけません。
今回は、コロナ禍の影響を直接的に受ける2021年度受験生が注意すべき点をお伝えします。
【テーマ1】学校休校期間の影響
休校期間中の学習課題の問題点は、これから表面化してくる!?
4月10日文部科学省は、新型コロナウイルス感染拡大に対応し、以下のような特例の通知を全国の都道府県教育委員会などに通知しました。
新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い
学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、休業が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態に備えるための特例的な措置として、3.の対象となるやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対し、学校が課した家庭学習が以下の要件を満たしており、児童生徒の学習状況及び成果を確認した結果、十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときには、学校の再開後等に、当該内容を再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができること。
<要件>
①教科等の指導計画に照らして適切に位置付くものであること。
②教師が当該家庭学習における児童生徒の学習状況及び成果を適切に把握することが可能であること。
この場合、学級全体の学習状況及び成果に鑑み再度授業において取り扱わないこととする場合であって、一部の児童生徒への学習の定着が不十分である場合には、別途、個別に補習を実施する、追加の家庭学習を適切に課すなどの必要な措置を講じること。
【出典:文部科学省「2文科初第87号」通知より一部抜粋】
https://www.mext.go.jp/content/20200410-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
この通知によって、何が変わったのでしょうか? 公立小学生を想定して、考えてみましょう。
●変化した、休校中の「学校課題」の位置づけ
通知前 | 通知後 | |
学校からの課題=「復習」のみ | 学校からの課題=「予習」も含む | |
履修済みの内容なので、子ども一定の理解ができている。保護者が短時間で指導することもできる。 | 未履修の内容は、保護者が学校の先生に代わって、教科書や教材を使って指導しないといけない![*注1] |
[*注1]登校日が設けられて学校で課題のチェックが実施されましたが、短時間の分散登校というケースが多く、個別での十分な指導は期待できませんでした。
あれ? 課題って、復習だけではないの? と思う方もいらっしゃるでしょう。
6月に入り緊急事態宣言が解除されて学校生活が再開しましたが、休校期間中の学習内容のさまざまな問題が表面化するのはこれからです。
例えば、教育格差是正の目的もあったはずのオンライン授業が、家庭でのフォロー状況によっては格差を助長する結果になってしまうという問題もその一つです。
●「オンライン授業=対面授業」とはいかない
オンライン授業の成功例 | オンライン授業の失敗例 | |
学習のフォローができている | 授業を受けて、うけっぱなし | |
保護者がしっかりサポートして、学習内容の定着を確認。活用できた→「対面授業と近い学習効果」 | 正しい勉強法・学習内容確認ができないと、未履修と変わらない…→「対面授業での学習効果には及ばない」 |
“教育格差を埋める” 目的が、逆に “教育格差を拡大” させることに!?
受験生に限らず、お子様が小学校低学年などでまだ勉強法が身についていないという時期のオンライン授業は要注意です。「共働きで、子どもの勉強を見てあげられなかった…」というご家庭は、確認が必要でしょう。
受験生は、勉強の遅れを取り戻すため、駆け足で勉強を進めていきたいところですが、ここにも落とし穴があります。休校期間中に履修した内容が本当に身についているかしっかり確認してください。
4月~5月に履修をした学習内容が不完全だと、先になってつまずきが露呈します。志望校の過去問演習をする時期になって、慌てて遡及学習をしないといけない…という事態は避けないといけません。
●学習は”積み上げ”。穴を作ってしまった影響は後から出てくる。
学習はどの科目も「積み重ね」。
履修してきたことを、常に・何度も確認しながら
次の学習へと進めていきましょう。
特に、休校期間中(4月~5月)の勉強内容を意識して、しっかり復習!
勉強は積み重ねが必要です。常にこれまでの履修内容を何度も見直して、次の学習へと進んでください。
“オンライン授業(映像授業)の正しい勉強方法“がマスターできている人は、積極的に活用して復習・予習を進めていきましょう!
※[2020.04.28記事]「新学年の準備を“自らの力”で進めよう」内で、オンライン授業(映像授業)の勉強法について紹介しています。
【テーマ2】今年の受験生の「夏期講習」
今年、塾・予備校の夏期講習は、これまでにない超過密スケジュールに!
塾・予備校の夏期講習が目前に迫ってきました。まとまった時間が取れる非常に貴重な時間です。
目標を明確にして、有意義な時間を過ごしたいところです。
今年、新型コロナ・緊急事態宣言下の地域の集団塾・予備校の夏期講習がどのように実施されるかというと、
[1]例年通りの授業時間を確保する。
[2]例年よりも授業時間数を減らして実施する。
1か2のいずれかとなるわけですが、肝心の夏休みは大幅に短縮されています。
集団塾・予備校は例年通りの授業時間で開催するところが多く、結果として
[過去に経験したことのない]超過密スケジュールの夏期講習となります。
受験生は秋から本格的な志望校対策を始めなくてはいけません。やり直しの効かない短い夏休み。
絶対に失敗しないために以下をチェックしてから、夏期講習に参加してください。
●超過密スケジュールの夏期講習を成功させるために、いま一度チェックを!
ポイントは、自分は夏期講習に「何を目標に」「何をゴールに」して臨むかです。
夏期講習は、受けることが目的ではありません。夏期講習は、志望校に合格する・成績を上げるための手段です。
そして受講した後には、学んだ知識を定着させるために一定量の演習が必要です。計画的に演習時間を確保した上での受講をおすすめします。
【テーマ3】新型コロナ第2波・第3波のリスクに備える
自分だけの「学習のロードマップ」を作ろう!
日本国内では緊急事態宣言が解除されましたが、世界的にはまだ感染のピークを越えたとは言えない状況です。国内でも第2波・第3波が発生するリスクは高いとも言われています。この先、再び緊急事態宣言が発令されても慌てずに対処できるよう、今から新しい生活様式の中でのロードマップ[勉強編]を準備しておきましょう。
●“新しい生活様式”に対応した、合格のためのロードマップを描く
Ex.1 | 学習法の確立 | オンライン学習でも、対面授業と変わらない学習効果が得られるよう、正しい勉強方法をマスターする |
▼ | ||
Ex.2 | 効率的な知識の定着 | 内容量・スピードがアップする授業での定着を高めるために、可能な限り予習を進める |
▼ | ||
Ex.3 | ムダのない学習の継続 | 志望校合格から逆算された、自分だけの学習カリキュラムに基づいて計画的に学習 |
※3密を避け、ソーシャルディスタンスを確保し、手洗いの徹底・マスクを着用するといった、日常生活での新型コロナウイルス感染防止対策を怠らないことは、もちろん最重要課題です!
一人ひとり志望校も違えば、休校の影響も違います。自分に落とし込んだ学習のロードマップを作ることからまず始めてみましょう。
ここからは、新型コロナ感染防止を怠ることなく、自学自習の遅れを取り戻し、受験までの学習管理をどこまでしっかり行えるかが合否の分かれ目。さぁ、勝負の「短い夏」が来ています!
文責:S.H
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