制服を見れば学校が見える? - 昨今の制服事情を通して思うこと
私立中学・高校の入学が決まったあと、最初に生徒が行うことの一つに“制服のサイズ合わせ”がありますね。
私が通っていた学校では、制服の購入・直しをするために入学前に新入生が一斉当校する日があり、訳も分からず流れ作業のようにあっちへ行ったりこっちへ行ったり…くたくたになりながら「ああ、この学校に入学するんだなー」と実感したものでした。
さて、制服のトレンド、とくに女子の制服のトレンドは、ファッション業界ほどの目まぐるしさこそありませんが、年々刻々と変化し続けています。
たとえば昭和初期からの日本の伝統的な女子の制服といえばやはり「セーラー服」ですが、1980年代から徐々に「ブレザー」が浸透しはじめて、今ではセーラー服は少数派。
主流派となったブレザーのトレンドも、「嘉悦女子(現・かえつ有明)」のタータンチェックのスカートの新鮮さが注目を浴びた時代、「品川女子」のキャメルのブレザーが憧れられた時代、“制服をいかに自分でアレンジして着るか”という個性の時代を経て、今はスカート丈を多少短くする程度で、制服の「地の良さ」を出して(つまり手を加えないで)着るのがオシャレなのだそうです。
「地の良さ」といえば、最近話題になっているのが「京都市立京都工学院高校」の“濃紺のブレザーに白いパイピング”を施した制服。なんと、某人気少女漫画の登場人物達が着ている制服をベースにつくられたものなのですが、色味を落としたシックなデザインで、制服として何の違和感もなく、上品さを醸し出しています。オシャレな制服は私立校の特権ではないという好例ですね。
学校側が制服を一新する理由としては、やはり生徒獲得増につながることが大きいのですが、単純に「集客」目的だけで制服を変更しても、思うような結果が得られないケースが多いそうです。
私見としても、ただトレンドやブランドに迎合するのではなく、めざす学校像に一致する制服デザインを選択しているケースだけが、学校のイメージアップにつながっているように感じます。
本来、制服はあくまで後から付いてくる物なのでしょうが、こうして考えてみると、「学校の思いを反映している」と言っても言い過ぎではないでしょう。
流行りの制服が注目される一方で、伝統校の何十年も変わらない制服の人気が高いのは、きっと「変える必要がない」という自信と誇りの表れに、みんな思わず惹かれてしまうのでしょうね。
文責 C.T.