実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第21回 広島学院中学校・高等学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第21回目の今回は、広島学院中学校・高等学校をご紹介します。
志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 広島学院中学校・高等学校 |
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所在地 | 広島市西区古江上1-630 JR山陽本線 西広島駅で下車後、徒歩で約30分またはボンバスへ乗り換え、学院東門前停留所で下車すぐ(バス乗車時間約10分) |
ホームページ | http://www.hiroshimagakuin.ed.jp/ |
■学校概要
- 「原爆で壊滅した広島を教育の力で励ましたい」… 1956 年、イエズス会が古江の丘に広島学院を設立。以来、カトリックの人間観・世界観に基づく人間の形成が、建学の精神。広島市内には、他にも私立中高一貫校の男子校はあるが、その中でも唯一のミッションスクール。
- 日本では3番目の中学校・高等学校として、イエズス会が設立。イエズス会が設立した学校は全世界に広がっており、国際性と愛の精神に貫かれた同じ精神のもと、国際人として世界のフィールドで活躍できる人が育ち、巣立っている。
【姉妹校一覧】
- 上智大学(東京)
- 上智大学短期大学部(秦野)
- エリザベト音楽大学(広島)
- 六甲中学校・高等学校(神戸)
- 栄光学園中学校・高等学校(鎌倉)
- 上智福岡中学校・高等学校(福岡)
広島学院の目指す人間像
■入試情報
◯2017年度中学入試
1/22(日)が入試日。
受験者数は、昨年の643名→689名に増加。(+46名)
合格者数も、昨年の265名→281名に増加。(+16名)
受験倍率は、昨年の2.42倍→2.45倍と横ばい。
合格最低点(400点満点)は、昨年264点→241点まで下がっている(△23点)が、過去6年間では、最低:224点(56.0%)~最高:267点(66.75%)まで開きが見られる。合格ラインは決まっていない。追加合格については、若干名のみ。
算数は、算数Ⅰ(基本的な力が試される問題:試験時間20分)と算数Ⅱ(応用力と思考力が試される問題:試験時間40分)で2回に分けて実施される。
算数Ⅰは午前中に、算数Ⅱについては午後から受験。算数の配点は、国語と同じ120点。
算数を2回に分けて受験する、他校にあまり見られないパターン。
◯2018年度入試
2018年度については、1月21日(日)試験日、1月22日(月)合格発表日と決まっている。
◯受験資格
自宅から通学可能な男子に限定されている。遠隔地に居住している場合は、事前審査のため書類の提出が必要なため、事前に確認が必要。広島県全域と、山口県東部(周防地域)、岡山県西部(備中地域)から通学している生徒もいる。
■進学実績
<合格者数>
東大19名 京大15名 大阪大10名 広島大30名 九州大8名 (その他多数)
慶応義塾大27名 早稲田大28名 上智大2名 他私立大161名 (その他多数)
*過年度卒業生を含む数字
■教育の特徴
○「Be men for others, with others」の精神を実践する活動として、社会奉仕をきわめて重要なも のと考えている。
物質主義的な風潮の拡がる現代社会で、奉仕的な生き方を選び取り、人間的で幸福な社会を 築くために仕える人間が育つように配慮し、近年では以下のような多洋な活動を実践。
- ボランティア:GSS(ボランティアサークル)が、通年で保育園・児童館・老人ホーム等を訪問災害ボランティア(東北の被災地/8月)
- 学校行事:街頭募金・児童施設を招いてのクリスマス会
○授業の初めと終わりには目を閉じて心を静かにする時間があります。これを「瞑黙(めいもく)」といいます。これによって気持ちの切り替えが出来て、授業の集中力が増します。
○雨天時等を除き、「中間体操」 2時間目と3時間目の間に、15分間当番以外の全員がグラウンドに出て「学院体操」を行う。
○学内に食堂はありません。昼食はクラス全員と担任にとっては大事なひと時、お母さんの弁当や売店のパンなどを一緒に食べ、和気あいあいの時間を過ごします。
○放課後は、掃除、クラブ活動、カトリック研究会などそれぞれの活動を行います。運動部は週2回、文化部は週1回、カトリック研究会は週1回活動しております。また、職員室はいつも開放されていて、入口付近にあるカウンターで人生相談や勉強の質問などに訪れる生徒がたくさんいます。
■名門会担当者より一言
今年の中1から、中間テスト前の1週間は、「6時間目に補習」と「プレテスト」の時間を取り、中間テスト対策を実施している。
プレテストの時点で後れを修正させ、中間テストに臨ませた結果、中間テストの結果はかなり改善された様子。学校側の狙いは、「落ちこぼれを防ぎ、やる気を持続させるのが目的」とのこと。
最難関の進学校であるほど、中学入学がゴールになり、勉強をしなくなる生徒は多い。今後も同様の取り組みをする学校が、全国的に増えていくのではと思われる。
高校では、高3まで均等のクラス分けを実施。そのため、「成績上位者」と「下位者」が同じクラスで勉強する環境にある(「習熟度別編成」が主流である事を考えれば、最難関の進学校の中では珍しいと思います)。
4分の3は理系志望で、大半が医学部志望者。そのため理科選択を高1年の終わりにさせ、高3の1学期で履修内容全てを終了させ、夏以降は実践演習に入る。ついてくるのは大変なカリキュラムかも知れないが、最難関大の理系を目指す生徒にとっては恵まれている環境があると言える。
■学校を訪問してみての感想
2015年に60周年を迎えており、卒業生の累計者数は、およそ9,000人を超える。卒業生の中で、進学者数が一番多い大学は東大で、約1,200名程度となっている。
全国屈指の最難関校でありながら、優秀な生徒を全国から集めるのではなく、地域に根ざし、一人一人を大切にした、全員で向上する雰囲気作りを大切にしているのが伝わる(過去には寮が設置されている時期もあったが、現在では寮は廃止になり、現在は自宅通学可能な生徒に限定されている)。
習熟度別授業を導入せず、チームワークを活かして、体育祭、文化祭、クラブ活動などに力を入れる。こうした取り組みの成果が、進学実績にも着実に現れていると感じる。
また、訪れた人に対し全員が大きな声で挨拶をくれる、そんなところにもゆきとどいた教育を感じられた。
(文責:S.H)