日本経済新聞社主催「世界で求められる力を~これからの中高一貫教育とは? 21世紀型リーダーを育てる渋谷教育学園」に特別協賛しました
グローバル化が進んだ現代社会。日本は今後、より大きな役割を果たすことを、世界中で期待されています。近い将来、21世紀半ばには、国際化や情報化が遥かに進んで、今から変化を予測することは困難なほど、大きな変革が訪れることでしょう。
そのように混沌とした次代を生きる力を育む教育の実践として、「自調自考」の教育目標を掲げる渋谷教育学園の理事長・校長 田村哲夫先生と、渋谷教育学園幕張高校の卒業生でおられる日本マイクロソフト社長 平野拓也氏のご講演が、去る2017年7月2日、新宿ハイアットリージェンシー東京にて開催され、21世紀のリーダーを育てる教育の方向性が語られました。
名門会も特別協賛という形で参加させていただき、当日は『魅力ある中高一貫校がいま求める学力とは』というタイトルで講演させていただきました。今回はその概要をお伝えしたいと思います。
■『魅力ある中高一貫校がいま求める学力とは』
今春の2017年度入試は、2020年度から実施される大学入試制度改革をにらみ、多くの私立中学でその対応が「形になってきた」ことが特徴でした。
まずは昨今の中学入試で見られる3つの大きな流れについて触れてみましょう。
- 1つ目が「英語入試の導入」
- 2つ目が「思考力・表現力を問う形式の出題」
- 3つ目が「アクティブラーニング入試のような新しい形式の問題」の3つです。
■市川中学は英語入試を導入
1つ目の英語入試ですが、既存の帰国生入試における英語の試験ではなく、4科入試のほかに英語を受験科目として設定する学校が、年を追うごとに増加傾向にあります。そんな中、今年度入試より市川中学が英語入試をスタートしたのは大きなニュースです。
市川中学では、長文を読んで内容を答える問題や、絵を見て内容について説明させる問題、また直近の時事問題について意見を述べさせる問題など、高度な英作文問題が出題されました。難易度の目安としては、学校側の発表では英検2級程度、とのことです。
2018年度以降、英語の科目化が小学校で先行されることを考えると、今後ますます英語入試の枠は拡大することが予想されます。ですが、単に受験生の負担を増大させるような変更には至らないように、各私立中学校も模索されていることでしょう。今後の動向を注視したいと思います。
■『学力の3要素』とは
次に、2つ目の思考力・表現力を問う形式の出題につきまして。今回の教育改革において注目すべきこととして、『学力』そのものの定義を以下の『学力の3要素』として明確にしていることが挙げられます。
- 主体的に取り組む態度
- 思考力・判断力・表現力
- 知識・技能
入学試験においては、これまでの『知識偏重』から『思考力重視』という大きな流れに不安を感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?「これまでの努力が無駄になるのでは?」というような・・・。
しかし、社会や理科では、上位校を中心にこれまでも『資料読解・考察問題』の出題が見られ、『知識』と『思考力』は常にバランスよく問われていました。2017年度は、このような『創造性』や『主体性』といった視点の出題が増加し、その裾野が広がりを見せたと言えます。
また、駒場東邦中の算数では、たいへん特徴的な設問がありました。
【1】(4)『今まで算数を学んできた中で、実生活において算数の考え方が活かされて感動したり、面白いと感じた出来事について簡潔に説明しなさい』というものです。
とても興味深く、また歴史的な出題であったと個人的には感じています。基本・典型題のパターンの暗記に頼るような学習ではなく、問題解決のための知恵につながってこその知識という能動性がより色濃く求められるようになるでしょう。こうした傾向をより明確に試験形式にしたのが、いわゆる思考力入試です。
「思考力」という言葉は独り歩きしているので、皆さんもご存じだと思います。
具体的にどのような問題かと言いますと、公立一貫校の入試問題のように、
【科目の枠組みを超えた総合形式の問題】
【資料の読み取り形式の問題】
【記述解答中心の問題】
【自分の考えを述べる意見表明型の作文】
といった形式の入試が挙げられます。
■新しい入試形式
さらに新しい形式として、3つ目の「アクティブラーニング入試のような新しい形式の問題」-アクティブラーニングの過程そのものやプレゼンテーションを試験として評価する取り組みも始まっています。先程の駒場東邦中の算数などは、これを先取りしたものと言えます。
今後数年間で、中学入試のあり方も大きく様変わりしていくでしょうし、大学入試改革の流れを受けて、偏差値や大学進学率とは全く別の価値観で志望校を選ぶ動きも見られるようになるかもしれません。
思考力や判断力、表現力を重視した入試や、主体的な学びを取り入れたアクティブラーニングの実施などは、御三家などの最難関中学、最難関高校ではもうすでに行われてきていますが、他の学校でもますます増えてくる傾向にあります。
いかがでしたか? 昨今の中学受験は、各科目の出題傾向やその対策方法、入試までの学習スケジュールの立て方など、より個別に対応することが不可欠となってきます。もっと知りたい・気になることがございましたら、どうぞお気軽に、お近くの名門会各校舎までご相談ください。
文責T.K