実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第26回 法政大学中学高等学校
名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第26回目の今回は、法政大学中学高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 法政大学中学高等学校 |
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所在地 | 東京都三鷹市牟礼4-3-1 京王井の頭線 井の頭公園駅 徒歩12分 JR線 吉祥寺駅 徒歩20分 |
ホームページ | http://www.hosei.ed.jp/ |
学校概要
法政大学の付属校として都内では唯一の学校。
大学の理念である「自由と進歩」の精神のもと「自主自立」を掲げて、世界と日本の未来を創造する人間を育てることを目指す。
2007年に吉祥寺東町から校地移転。男女共学化し、校名も法政大学第一中・高等学校から法政大学中学高等学校に改称。制服は、それまでの男子校時代、中学は詰襟、高校は制服なしであったが、新たに中高とも男女ブレザーを指定した。
【沿革】
1936(昭和11)年、千代田区富士見の法政大学構内に法政中学校として創立。
1946(昭和21)年、武蔵野市吉祥寺に移転。
1948(昭和23)年、法政大学第一中・高等学校を開設。
1971(昭和46)年、高校の服装自由化を実施。
2007(平成19)年、三鷹市牟礼に移転し、校名変更・男女共学化を行う。
■入試情報
◯2018年度中学入試
2/1・3・5の3回、すべて4教科入試。
国語・算数 各50分・150点、社会・理科 各35分・100点の合計500点満点。
〈出題傾向〉
国語
大問2題で物語文と説明文が1題ずつ。
ほとんどが選択肢の出題だが、記述問題もそれぞれ2問程度出題される。
漢字の読み書きや、慣用表現、接続詞、品詞の識別なども出題。
誤字・脱字は減点対象、漢字の書き取りではトメ・ハネも採点対象となる。
算数
小問集合1題と大問4題程度、量・平面図形・空間図形・場合の数など。
解答形式は、全問答えのみ。
難易度は基本から標準レベル。
社会
大問3題。地理・歴史・公民を各1題ずつだが、地理と歴史の比重がやや重い。
適語補充や選択肢問題が多いが、一部記述問題もあり。人名や用語は漢字で書けるように。
資料・統計の読み取りも要求される。
理科
大問5題、物化生地からバランスよく出題される。
選択肢問題が中心。
実験・観察をもとに考察する力を求める。
〈入試結果〉
第1回(2/1)
募集人員 男女約50名
志願者数327名(男子149、女子178)
受験者数286名(男子129、女子157)
正規合格者68名(男子31、女子37)
手続者数48名(男子17、女子31)
繰上合格者数9名(男子5、女子4)
第2回(2/3)
募集人員 男女約50名
志願者数589名(男子247、女子342)
受験者数433名(男子181、女子252)
正規合格者75名(男子40、女子35)
手続者数39名(男子17、女子22)
繰上合格者数11名(男子10、女子1)
第3回(2/5)
募集人員 男女約40名
志願者数649名(男子274、女子375)
受験者数442名(男子169、女子273)
正規合格者53名(男子25、女子28)
手続者数28名(男子12、女子16)
繰上合格者数15名(男子11、女子4)
志願者数は、付属校人気も追い風にして前年度比18%増と伸ばすことができた。
累計の志願者数は1565名、受験者数は1161名、合格者数は231名で、入学者数は140名(男子67名、女子73名)という結果である。
第1回入試の正規合格者の手続率は、男子は54.8%と例年並みだったが、女子は83.8%と非常に高い数値だった。女子で第一志望の生徒が増えているのか、あるいは2/1合格の勢いで2/2・2/3に明大明治や青山学院・法政第二あたりを受けた生徒が、その結果を見て早々に手続を済ませたのか(手続締切りは2/4)。女子の入試日程前倒し傾向がうかがえる数字である。
併願校は全日程を通して男女ともに大学付属校が圧倒的に多い。
受験生全体のレベルアップは見られるが、男子にもう一段高いレベルを求めたいというのが学校サイドの意向のようだ。
◯2019年度入試
入試日程・科目等は変更なし。
インターネット出願を導入する。
■進学実績
今春の卒業生229名のうち、法政大学への推薦基準を満たした者は217名(94.8%)、推薦合格者は193名(84.3%)、法政大学進学者は187名(81.7%)。
推薦入学資格を得るには、「高校3年間の総合成績」「英語資格試験」「基礎的思考力確認テスト」で大学が定める基準を満たすことが条件で、「英語資格試験」の基準は英検なら2級、そのほかTOEIC Bridge140以上、GTEC490以上、Pre-TOEFL ITP370以上、TOEIC395以上が基準となる。
なお、推薦資格を保持したまま他の国公私立大を受験することも可能である。
今年度の他大学進学者は33名で、進学先は筑波大、東京学芸大、横浜国大、早稲田大、慶應大、上智大など。早稲田大は6名、慶應大は2名、上智大は13名の生徒が進学した。
■教育の特徴
付属校としての特色を強く打ち出し、「受験のための学習ではなく、大学教育の前提となる基礎的・総合的な学力の獲得」を教育の一大方針としている。中高一貫教育を通して、高校でも文系・理系に分けることなく、総合的な学力と幅広い教養を身につけさせる教育を行っている。
中学は4クラス、高校は6クラス編成。
高校で90名程度の生徒を迎え入れているが、高1からすぐに内部生と高入生の混合クラスとなる。受験を想定しない6年間のカリキュラムがそれを可能にしている。
高2・高3では必修選択として、各自が将来の自分の進路を考えて担当教員と面接を行った上で、自然科学や人文・社会科学、語学など、文系・理系両方にまたがるさまざまな領域から授業を選択することができる。また、テーマごとにゼミが設置され、大学進学後の学習を先取りできるような環境も用意されている。
■学校を訪問してみての感想
付属校ならではの環境と教育。学校が強調するポイントである。
井の頭公園周辺の閑静な住宅地の環境で、生徒たちは自主自立の理念に守られてのびのびと過ごしている。
確かに付属校ならではの空気が漂う。
しかし、ある種のエネルギーがほとばしっていた時代を知るものとしては、角が取れたというか、普通の学校になってしまったなぁ…というのも正直な感想である。
共学化や制服指定のせいばかりではないだろう。系列の他の付属校と同様、大学の意向が強く働いていることは容易に推測できる。“大学で十分に学んで行ける学生を送り出せ”というのは、付属校に求めることとして当然の要求ではある。
ただ、世間の付属校人気が続くうちはよいかもしれないが、ブームが去ったあとは、他の大学付属校との競合も表面化し、厳しい状況に立たされるのではないだろうか。受験生を惹きつける独自性をいかに磨き上げて行くのか、今後に注目したい。
(文責:A.M)