実際に話を聞いて肌で感じた学校情報 第29回 青山学院横浜英和中学高等学校

カテゴリ : 中学受験, 学校情報

名門会教務本部の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第29回目の今回は、青山学院横浜英和中学高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。

学校名 青山学院横浜英和中学高等学校
所在地 横浜市南区蒔田町124番地
横浜市営地下鉄・蒔田駅 3番出口から徒歩8分
京急・井土ヶ谷駅 徒歩18分
ホームページ http://www.yokohama-eiwa.ac.jp/chukou/

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学校概要

今年創立138年を迎えた、プロテスタント系のキリスト教に基づく人格教育を行う学校。
2016年4月から青山学院大学系属校となり、さらに2018年度からは男女共学校となった。
共学のキーワードは「自立と相互理解」。男らしさ・女らしさというよりも、それぞれが自尊心を持って「自分らしさ」を探求する教育を目指す。
幼稚園と小学校が併設されている。

〈 沿革 〉

1880(明治13)年、H.G.ブリテンが山手48番にブリテン女学校を創立。
1886(明治19)年、横浜英和女学校に改称。
1916(大正5)年、現在地(蒔田)に移転。
1939(昭和14)年、成美学園と改称し、1947年に成美学園女子中学校を、1948年に成美学園女子高等学校を設立する。
1996(平成8)年、横浜英和学院と改称。中高は、横浜英和女学院中学高等学校と改称する。
2014(平成26)年、青山学院大学と系属校関係を締結。
2016(平成28)年、青山学院横浜英和中学高等学校に改称。
2018(平成30)年、中学1年生から男女共学化スタート。

■入試情報

◯2018年度中学入試

一般入試(A・B・C日程)はすべて4科目。
国語・算数は各50分 100点、社会・理科は各30分 50点。
帰国生選抜は国語・算数の2科目、各50分 100点。
5分程度のグループ面接あり(帰国生は個人面接)。事前面接・当日面接のいずれかを選択。

●A日程・帰国生選抜(2/1午前)
募集定員80名(帰国生選抜を含む)
〈 A日程 〉
志願者数250名(男子76、女子174)
受験者数228名(67、161)
合格者数129名(28、101)
合格最低点140/300

〈 帰国生選抜 〉
志願者数22名(男子5、女子17)
受験者数19名(4、15)
合格者数5名(2、3)
合格最低点79/200

●B日程(2/2午後)
募集定員40名
志願者数489名(男子113、女子376)
受験者数318名(79、239)
合格者数125名(18、107)
合格最低点157/300

●C日程(2/3午後)
募集定員40名
志願者数584名(男子149、女子435)
受験者数302名(91、211)
合格者数125名(39、86)
合格最低点151/300

今春は254名が入学(併設小学校からは50~60名)、6クラス編成。中2から高3は4クラス編成。合格者人数に男女枠は設けない。
午後入試について、15分以上の遅刻は認められない。

【出題傾向】

〈 国語 〉

漢字の読み・書き
語彙問題(同音異議・同訓異字、ことわざ、故事成語など)
文章整序問題
長文2題(論説文、小説文)

  • 体系的・論理的思考力と読解力をみる。
  • 最後の小説文は時間切れで解答できない例が散見された。読解のスピードも必要。
  • 漢字の書き取りは、トメ・ハネ・ハライもチェックする。
  • 語彙問題と並び替え問題に弱い受験生が多い。

〈 算数 〉

計算問題
小問集合
大問4~5題

  • 記述形式の問題はない。
  • 図形・グラフ問題は必出。
  • 時間切れの解答用紙が目立った。大問は(1)(2)は確実に解くなど、時間配分を考えて解き進めることも必要である。

〈 社会 〉

地理・歴史・総合問題がそれぞれ1/3ずつ出題される
全体で34問ほど

  • 総合問題は日本・世界の時事的テーマを題材にして、地理・歴史・公民にまたがった理解を問う。
  • 論述形式の出題も2問ほど出されたが、比較的よくできていた。
  • 地理は、やや難度の高い用語も出題されるがここではあまり差はつかない。差がつくのはグラフや表の読み取り。
  • 歴史は、知識の丸暗記ができていなくても問題文を読んで背景を考えることによって答えが導き出せるものが多い。理由や背景を自分の言葉で説明できることが必要とされる。全体的に正答率は高かった。

〈 理科 〉

4分野から万遍なく出題される

  • 物理は、電流・電圧・抵抗などの出題だったが、男女ともにできは悪かった。
  • 化学は、基本的な試薬の変化やグラフからの計算問題など。
  • 生物は、遺伝が出された。単に知識を問うものではなく文章を読んで考える内容になっている。
  • 地学は、天体・気象など。日食や月食など、仕組みについての理解が必要。
  • グラフや与えられたデータから解答を導くものが多い。
  • 絵を描かせるような出題があったら(ex.昆虫の足など)ていねいに描くこと。
  • 中学の教科書に出てくる基本事項のチェックもしておいたほうが良い。

◯2019年度入試

日程には変更なし。
募集定員を、A日程80名→70名に、B日程40名→50名に変更する。合計160名は変更なし。
5クラス体制を考えている。

■進学実績

〈 合格者数 〉

卒業生138名。
国公立大5名(すべて推薦・AO、横浜市立大2名など)。
早稲田大・慶應大各2名、明治大11名、立教大7名、法政大12名など。
青山学院大はすべて系属校推薦入試で13名が合格(昨年は15名)。

青山学院大学への進学は、大学が定める進学条件を満たせば希望者は全員が推薦される。
条件は高校3年間の学業成績と学力試験結果、人物評価が総合的に判断され、詳細は不明だが、毎年細かい見直しが行われているようだ。青山学院系属校1期生の現中3生が卒業を迎えるときまでには一定の基準に落ち着くものと思われる。学校としては7割の生徒が推薦資格を取得できることを目指すとのこと。
推薦の権利を保持したまま他大学を受験することはできない。

■教育の特徴

キリスト教教育の学びをベースに、キリスト教教育・キャリア教育・グローバル教育 + コミュニケーション教育・ICT教育の3 + 2の教育プログラムを実践している。
一日は、1・2年生は礼拝堂、3年生以上はブリテンホールで行う朝の礼拝から始まる。聖書の授業が全学年週1時間あり、6年間を通してキリスト教的視点を養い、人と自分を大切にする生き方を学ぶ時間になっている。また聖書を通した宿泊行事・修養会も各学年で実施されている。
キャリア教育については、将来のそれぞれの希望進路実現のために、1・2年次の基礎学力の定着にはじまり、英数の習熟度別授業や英会話などの少人数制授業による学力養成プログラムが組まれ、個別に指名制の補習も行われる。夏休みには12日間にわたる選択制の補講も用意される。文理選択に関してはHRによるクラス分けではなく、進路に合わせた選択科目によって学習を進める。現状、文系志望の生徒が約7割とのこと。
青山学院大学への進学はあくまでもひとつの選択枝であり、一人ひとりの進路希望を実現させる指導が学校としての基本的な考えになっている。
グローバル教育においては、海外の4つの姉妹校・2つの提携校との留学生の交換や4年生全員参加のオーストラリア研修旅行など国際交流に力を入れる。一方で国内研修として、3年生は広島・京都を訪れ平和学習と日本の歴史・文化に触れる機会を持つ。総合学習での茶道体験なども国際人として生きるための基礎につながっている。
コミュニケーション教育、ICT教育を通してプレゼンテーションスキルや情報リテラシーを身につけるプログラムも実践されており、これからの社会で活躍するための能力の育成にも取り組んでいる。

■学校を訪問してみての感想

共学化による影響も懸念されたが、「礼拝に向かう男子の様子は想像以上」だったようだ。入試における男女の定員を定めていないこともあり初年度は人数としては女子が圧倒しているが、積極的に発言をする男子の姿も随所で見られ、今後は男子生徒が増えていくものと思われる。
学校は蒔田の丘にあり、蒔田駅を利用する生徒は毎朝“百段階段”と呼ばれる階段(実際は156段あるらしい)を上って通学する。息を切らして階段を上りきると、緑に囲まれた開放的な学校エントランスが生徒たちを迎える。数年前に建て替えられた校舎は光にあふれ、ゆとりのある空間が落ち着きと温かみを作り出している。
進学については、それぞれの希望を叶えるという方針もあり、美術系や医療・福祉系に進む生徒など多彩なようだが、今後は進学校に向けて舵が切られるのだろうか? 「男子が入ってきて、みな勉強するようになった」という言葉も耳にしたが、進学中心の指導に偏らない、従来からの幅広い教養教育に根ざした柔軟な進路指導の継続を期待したい。
なお、中高ともに完全給食である。

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■名門会担当者より ひとこと

評価が定まるのは、まだ数年先だと思う。
共学化による問題点もこれから表面化してくるのかもしれない。
個人的には男女別学の私立校が減っていくことは大変寂しく感じるが、数少ないミッション系の共学校として、新たな文化を創るべく邁進していって欲しい。

文責:A.M

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