実際に話を聞いて肌で感じた学校情報
第33回 青山学院大学系属 浦和ルーテル学院中学校・高等学校
名門会の担当者が、実際に学校を訪問してみて、肌で感じた生の情報をご紹介!
第33回目の今回は、青山学院大学系属 浦和ルーテル学院中学校・高等学校をご紹介します。志望校、併願校を選ぶ際の一つの参考になれば幸いです。
学校名 | 青山学院大学系属 浦和ルーテル学院中学校・高等学校 |
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所在地 | 埼玉県さいたま市緑区大崎3642 〈スクールバス〉 埼玉高速鉄道南北線 浦和美園駅から3分 JR京浜東北線 北浦和駅 西口から20分 JR武蔵野線 東川口駅 南口から15分 東武スカイツリーライン 北越谷駅 西口から20分 |
ホームページ | https://www.uls.ed.jp/ |
■学校概要
1953(昭和28)年、北浦和に聖望学園小学校として創立。
1963(昭和38)年、聖望学園中学校を設置。
1970(昭和45)年、聖望学園高等学校を設置。
1974(昭和49)年、浦和ルーテル学院に名称を変更。
2015(平成27)年1月、美園新校舎に全面移転。
2018(平成30)年、青山学院大学と系属校協定を締結。
2019(平成31)年、青山学院大学系属浦和ルーテル学院と校名を変更。
■入試情報
◯2019年度中学入試
募集人員25名
入試日は、1/10、1/12、2/5の3回。
出願者数307名、受験者数205名、合格者数83名、入学者数45名(男子21名、女子24名)。
※2018年度入試の出願者数は99名、2017年度の出願者数は64名だった。
出願者数の伸びは数字の通りであるが、2018年度は埼玉県からの受験者が79%、東京都からは17%だったが、2019年度は埼玉県が55%、東京都が37%と変化した。同時に併願校(2月受験校)も青山学院中等部や明大中野八王子、東京都市大学等々力、立教女学院など、都内の上位大学附属校・準附属校が目に付くようになった。
1学年75名を最大定員とする少人数教育を進める学校で、小学校からの内部進学者数と学内施設の現状を考慮すると、中学校の募集人員をこれ以上には増やすことができない。
2020年度入試は更なる受験者人数の増加が見込まれ、厳しい入試になりそうである。
◯2020年度中学入試
募集人員25名
第1回(約10名):1/10(金)、2科4科
第2回(約10名):1/12(日)、2科4科
第3回(約5名):2/5(水)、2科または英検利用入試
〈主な変更点〉
適性検査型・プレゼン型入試を廃止して、2科・4科・英検利用型の3方式に変更。
午後入試をなくしてすべて午前入試に。
「第1志望」出願を廃止。
出願はすべてウェブ出願に変更。
〈出題について〉
国語:100点45分
2019年度は長文が出題されてやや難化したが、2020年度も難易度はそのまま維持されそう。
算数:100点45分
2019年度よりもやや難化の可能性あり。基礎的な計算から文章題や図形など、幅広い範囲から出題予定。
理科・社会:各50点、2科目合計で45分
各分野から万遍なく出題する。
※2科・4科ともに7割程度を合格の目安にする。
面接:
4~5人のグループで、順番に答えてもらう形式。
志望理由や入学後の抱負など、基本的な受け答えができるかを見る内容。
2019年度は、1人2問ほどの質問。
〈英検利用入試について〉
英検3級以上取得者が対象。
国語50点、算数50点(各45分) + 英検級を点数化 + 日本語での面接
※英検級は、3級は80点に、準2級は90点に換算(100点満点中)。
※国語・算数・日本語面接は一般入試と同じ内容(100点を50点に換算)。
※6割程度を合格の目安とする。
〈参考〉
本年度の入試説明会参加者から、2科4科入試に関しては4科受験を希望する生徒が3/4程度、英検利用入試に関しては英検2級取得者も複数名いるとのこと。
■進学実績
首都圏で最も生徒の学力を伸ばす学校のひとつとして知られている。
卒業生は例年50名前後(2017年55名、2018年46名)だが、東大・筑波大などの国公立大学や早慶上智ICUなどの私立難関大、医学部医学科、東京芸大や武蔵美・多摩美などの芸術系大学や海外大学など、進学先は多岐にわたり、現役合格率は90%を超える。
その上に青山学院大学の系属校化が加わり、将来的には青山学院大学が進学先のボトムとなるのだろうか。
青山学院大学への進学は、現小1生が高校を卒業する2030年には希望者全員が進めるようになることを目指すとのことだが、それまでの経過措置として、定められた進学基準を満たせば規定人数枠内で希望者は進学できるようになっている。現状、現高3・高2生は青山学院大学の学部数(11)×1に加えて、従来からのキリスト教同盟枠を含めた程度の人数、現高1生に関しては30名ほどの推薦枠を想定しているようだ。現小5・小6生が卒業を迎えるころには、順調に進めば50名弱の枠が確保できるかもしれない。
もともと生徒の多様性を認める学校なので、このたびの青学大系属校化によって国公立大学や医療系大学、海外大学などへの進学希望者が減ることはないと思われる。学校全体の進学先の底上げは、確かなものになりそうである。
■教育の特徴
「ギフト教育」の実現を教育目標とする。
一人ひとりが持っている才能や長所は神様からの贈り物(ギフト)であるというのが根本的な考え方であり、ギフトを活かして、それを人のために使ってまわりを幸せにしていくことができる人間を育てて行きたいという考えを教育理念とする。
そのための教育環境として、「少人数教育」「英語・国際教育」「小中高一貫教育」「キリスト教教育」を掲げる。
小中高一貫教育については、6・3・3にとらわれない長期的視野に立った教育を行っており、全学年の生徒が同じフロアで日々の学校生活を送っているので、タテ・ヨコのつながりは大変に強い。中学・高校で外部からの生徒が入ってくるが、特に派閥争いなどが生じるわけでもなく、外から入ってきた子たちと早く打ち解けて仲間としてやっていきたいという意識が伝統的に強いという。少人数教育を通して一人ひとりの個性を大切にしていきたいという考えが、新たに加わる子たちに対しても、先入観なくお互いを認めるという意識の涵養につながっているのかもしれない。
■名門会担当者より一言
校舎移転後、通学にやや不便さは感じるが、校内は清潔感と温かさにあふれている。
キリスト教教育に基づく人格教育を柱とするので、露骨に進学実績や進学指導を前面に出すことには先生方にもためらいがあるように感じられるが、人文学やサイエンスなど多方面のフィールドプログラムに精力的に取り組み、英語教育については海外研修を含めて早くから4技能の徹底習得に取り組んでいる。また、高3生を対象とした受験講座は希望者がたとえ一人であっても開講されている。質の高い進学実績が出ているのは伊達ではない。
中学入試においては、生徒の受け入れ人数枠を増やせないことに先生方もやや申し訳なさ気であるが、変わることのない教育理念のもと、少数精鋭の個性豊かな教育が今まで以上に実り多いものとなりそうである。
文責:A.M