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第7回サレジアン国際学園中学校高等学校(現・星美学園中学校高等学校)
2022年4月に星美学園が校名変更・共学化を行い、サレジアン国際学園中学校高等学校として新たなスタートを切ります。
根底に流れる教育理念が変わることはありませんが、指導体制や指導内容等かなり大きな改革になりそうです。詳細は今後の説明会などで案内があると思いますが、現状で得られた内容を整理して紹介させていただきます。
学校名 | サレジアン国際学園中学校高等学校 |
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所在地 | 東京都北区赤羽台4-2-14 03-3906-0054 JR赤羽駅・北改札口より徒歩10分 |
ホームページ | https://www.salesian.international.seibi.ac.jp/ |
校舎外観
■学校概要
〈 沿革 〉
創立者、聖ヨハネ・ボスコ(=ドン・ボスコ)
1872年に聖マリア・マザレロとともにカトリック女子修道会サレジアン・シスターズを設立し、現在はローマを拠点として世界97か国に支部が設けられている。
1929(昭和4)年にサレジアン・シスターズが来日、その後1947(昭和22)年に星美学園小学校、星美学園中学校が創立され、翌年には星美学園高等学校が創立された。
■学校改革の概要
〈 教育目標―21世紀に活躍できる『世界市民』の育成 〉
ドン・ボスコの『心の教育』を土台として21世紀に活躍できる世界市民力を育むために、コミュニケーション力、言語活用力、数学・科学リテラシー、考え続ける力の育成を柱とした教育を実践する。言語としての英語活用力、論理性をともなう科学的な思考力・判断力を養い、また正解のない問題に対しての建設的な考えを導き出すために全教科でPBL型授業を導入し、問題解決に向けた学びを通して生徒の主体性や協働学習力を高める。PBL型授業は、先行して現中1・高1で実践されている。
同時に、従来からの『生徒と共にある』教育を基盤として、シェアド・リーダーシップ(共有型リーダーシップ)の考えを教員・生徒双方により浸透させる。
〈 コース制の導入 〉
本科とインターナショナルの2コース制とする。中学は本科クラスとインターナショナルクラス、高校は本科コースとインターナショナルコースに分かれる。
本科クラス・本科コースは、将来的に国公立・難関私立大学や先端研究を行う理系大学への進学を想定し、PBL型授業を通した学びと週8時間の英語授業による言語活用力の強化や複数年度にわたる探求学習を通したアカデミックスキル・ソーシャルスキルの習得など、大学総合型選抜入試にも対応できるような力を身につけさせ、生徒の進路選択の多様化に対応する。
インターナショナルクラス・インターナショナルコースは、さらにアドバンストグループとスタンダードグループに分かれ、ともに英語で学び英語で考える学習環境を用意し、将来的に英語で学ぶ国際系の国内大学に加えて海外大学進学を視野に入れた進学指導を実施する。特にアドバンストグループでは、英数理社については英国のカリキュラムをもとにした専門性を持つ外国人教師によるオールイングリッシュの授業を行う。
〈 ICT環境 〉
PBL型授業の様子
2015年からタブレット端末の導入を進め、昨年度すべての生徒がひとり1台所有するようになった。Wi-Fi設備や電子黒板も完備し、日常の学びの中でさまざまなアプリを使いこなしてきた。その経験がこのたびのPBL型授業の導入にも大きく寄与しており、生徒たちは違和感なく新たな取り組みに臨んでいるようだ。数学・科学リテラシーを身につけるとともに、問題解決のための手段・方法として活用することを目指してプログラミング思考を育てる授業の導入も予定している。
■入試情報
〈 2022年度中学入試 〉
本科クラス、インターナショナルクラス・スタンダードグループ、インターナショナルクラス・アドバンストグループの3コースに分かれた生徒募集になる。
〇募集定員
150名(内部進学者を含む)
※本科クラス100名、インターナショナルクラス50名
※インターナショナルクラスは、アドバンストグループからスタンダードグループへのスライド合格あり(本科クラスへのスライドはなし)
〇募集要項・人数
第1回(2/1AM)-本科30名、インター15名
第2回(2/2PM)-本科30名、インター15名
第3回(2/3PM)-本科10名、インター10名(スカラシップ(特待)選考)
自由選択(2/1PM)-本科25名、インター(スタンダードグループ)10名
21世紀型(2/4PM)-本科5名
〇試験科目
[第1回・第2回・第3回入試]
本科、インター(スタンダードグループ)-2科or 4科
国・算 各50分、各100点
社・理 計50分、計100点
インター(アドバンストグループ)-英語学力試験+英語エッセイ
学力試験 50分、100点
エッセイ 30分、50点
※CEFR B1以上で学力試験を免除
[自由選択入試]
本科、インター(スタンダードグループ)-2科選択
(国算社理の4科から自由に2科を選択) 計60分、計100点
[21世紀型入試]
本科-適性検査(思考力問題) 50分、100点
〇面接(本科クラスはなし)
インター(スタンダードグループ)-受験生のみ。日本語で10分程度。
インター(アドバンストグループ)-受験生のみ。英語+日本語で10分程度。
〇出題傾向
国算社理は本科とインター・スタンダードクラスは同一問題。
知識を問う問題に加えて、考えて記述で答える問題や、グラフやデータを読み取って答える問題などを出題する。
英語学力試験は、CEFR B1(英検2級)レベルを意識した出題。
英語エッセイは、受験生がこれまで経験してきたことや学んできたことなどに基づいて作文する形式。(目安250語)
適性検査は、時事問題や身近な問題・テーマに関して自分の考えを文章で記述する問題を出題。(字数制限なし、5問)
※11/13(土)に、サンプル問題を使用した入試対策会(説明会)を開催の予定。各教科の入試問題作成担当者から対策ポイントの説明などがあるようです。
■所感
赤羽駅から徒歩、長めの坂を上り切った先に落ち着いた校舎が見えてくる。過去に訪問した際は不思議と天候に恵まれない日が多かったような記憶もあるが、今年の説明会は陽も射して、多くの塾関係者の参加もあり盛況であった。
星美学園が共学化という一報に接したときには驚きもあったが、改革の方向性についていろいろな話を拝聴する中で、根底に流れる“生徒に寄り添う教育”が損なわれることはないだろうという安心感が得られた。校長の言葉の端々に強い決意と熱意が感じられ、こちらにも大いに伝わってくるものがあった。
PBL型授業にしてもインターナショナルコース新設にしても、同様の改革で先行する学校がいくつもある。そのような先行事例から様々なものを取り入れ、本校ならではの形に落とし込む作業が日々続けられているのだと思う。来年4月に生徒を迎え入れるまでにはいくつかのマイナーチェンジが見られるかもしれないが、心を育てるという長年継続してきた理念が失われない限り、間違った方向には向かわないと思う。指導面の改革と同時に、理科室や図書室のリニューアル工事や休憩スペースの整備など、ハード面のリフォームも進んでいる。
これから毎月説明会が予定されており、夏までには正式な募集要項も発表されるはずである。現在進行形の学校改革がいまどのような状況にあるのか、説明会に参加してみると肌で感じることができると思う。
来春の入試でどのような生徒が集まってくるのか、楽しみに見てみたい。
リフォーム中の図書室
文責:A.M